変種変量生産に対応し、市場を拡大する複合マシン

3台のTKマシンと40台の溶接ロボットが自動化を推進
建機向け熱交換器の需要増と大型化に対応し、過去最高の業績を達成

トーカイ工業 株式会社



建機向け熱交換器の需要増でピークを上回る業績を達成
代表取締役の太田光昭氏代表取締役の太田光昭氏
トーカイ工業(株)は、建設機械(以下、建機)用熱交換器を主に手がける大手ラジエーターメーカーの1次サプライヤー。熱交換器周辺のフレーム、ファンガードといった板金製品の加工・溶接組立・塗装までの一貫生産に対応している。
2008年のリーマンショック直後は建機需要が激減したことで低迷したものの、2009年以降は中国・中西部の社会インフラ投資が加速した影響で急速に回復。
2011年4月以降は、中国政府の金融引締めや温州市鉄道衝突脱線事故(2011年7月)の影響、中国ローカル建機メーカーの台頭などで中国向け建機の輸出が減少。その一方で2011年度下期以降は、国内の震災復興需要や、中南米向けを主体とした中・大型の鉱山機械(マイニング)の需要が伸び、リーマンショック前のピークを上回る業績を上げている。

海外進出か、国内に踏みとどまるか
事務所2階から俯瞰した工場内の様子。通路左のLC-3015F1NT(棚・TK付き)×2台と通路右奥のEML+TK――3台のTKマシンで全体の70%以上を加工し、自動化・省力化に貢献している事務所2階から俯瞰した工場内の様子。通路左のLC-3015F1NT(棚・TK付き)×2台と通路右奥のEML+TK――3台のTKマシンで全体の70%以上を加工し、自動化・省力化に貢献している
先期は創業以来の過去最高売上高を達成したにもかかわらず、太田社長は「このままでは大きな成長はない」と危機感を募らせる。
「大手ラジエーターメーカーは、すでに中国へ進出しています。ほかの業種と同様、建機向け熱交換器も、新興国を中心としたボリュームゾーン向けの量産品は海外生産へとシフトし、国内向けや試作品、鉱山機械などの大型機械、特殊機械が国内に残ることになるでしょう」。
メインの得意先である大手ラジエーターメーカーは今のところ、20トン以上の中・大型建機向けの熱交換器は国内で生産し、国内・海外にある建機メーカーの生産拠点へと供給している。しかし「今、国内に残っている製品も、海外へシフトするのは時間の問題」と太田社長は語る。...

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