〜SHEET NOW〜

工場は“スタジオ”、製品は“作品”
“モノづくり”から“ものごとづくり”へ

株式会社ニシヒロ



ラジオ局の“スタジオ”のような板金工場
代表取締役の西村 康氏代表取締役の西村 康氏
同社の玄関を開けると、まずその明るさと開放的な空間に驚く。工場と事務所の境はガラス張り――まるでラジオ局のアナウンスブースと副調整室(ディレクターやミキサーが詰めている小部屋)のようで、“スタジオ”そのもの。事務所からも現場からもお互いが見通せ、作業風景だけでなく緊急時の雰囲気まで察せられる。
西村康社長は、明るい光が差し込む社長室に社員と同じカジュアルなT シャツ姿で現れた。
「創業当初は1〜 2人を雇って、自宅の一室でプレスや板金の仕事を製作会社に発注する商社的な仕事をやっていました。当時はバブル全盛の頃で、注文書が次々とFAXで送られ、100mのFAX用の感熱紙を2〜3日で使い切るほどの忙しさでした」と好景気ぶりを振り返る。
業容が拡大し、その5年後には貸工場を借り、板金加工に取り組んだ。新潟県の三条・燕地区は洋食器の加工技術で培った金型技術・磨き技術・プレス技術が脈々と受け継がれている技術の一大集積地。その中で同社は、得意先の満足度を改善して、必要とされる企業になるためには何をすべきか、という考えから、
(1)最新設備による技術向上
(2)環境整備による品質向上
(3)人材育成による魅力向上
――を企業理念に掲げ、早い時期からネットワークを活用したモノづくりに着目していく。

ゲーム機筐体から医療機器への転換
SheetWorksで作成したベッドフレームの3次元モデルSheetWorksで作成したベッドフレームの3次元モデル
同地域は、以前から大手ゲーム機メーカーからの仕事が多く発注されている。
同社は、西村社長の人なつこい人柄と多くの人脈を活かして営業活動を続け、ゲーム機だけでなく、医療機器や銀行端末、情報通信装置などの新規得意先を開拓していった。貸工場では思い切った設備ができなかったために、2007年に新工場を完成。工房にも似た“スタジオ”―― 品質の優れた製品(作品)を提供する環境へと変わっていった。
新規開拓の際、特に威力を発揮したのが、3 次元ソリッド板金CAD SheetWorks。2006年に1台目のSheetWorksを導入し、3次元モデルによるモノづくり提案を行うようになっていった。...

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