デザインカバーの需要が拡大する工作機械業界

工作機械関連が売上の50%を占める
3次元ソリッド板金CAD SheetWorksを活用した提案を推進

有限会社 吉見鈑金製作所



工作機械関連の受注は山谷が激しい
専務取締役の吉見昌高氏専務取締役の吉見昌高氏
長野県上田市(東信地方)にある(有)吉見鈑金製作所は、工作機械カバー・部品などの製作を得意とし、工作機械メーカー数社からの受注が売上全体の50%程度を占める。現在、受注量自体はリーマンショック前の水準に戻ってきたが、受注単価の下落と、受注量の変動が大きいことから、数字確保という視点では工作機械業界以外の得意先開拓も求められている。ここ数年は農業機械や再生可能エネルギー関連、医療機械、半導体製造装置など、さまざまな業種で新規得意先開拓に注力している。
取材に応じてくれた吉見昌高専務は「リーマンショックや3.11東日本大震災が引き金となり、工作機械メーカー各社の間でグローバル調達や“適地適産”の動きが目立ってきました。当社が取引している工作機械メーカーのお客さま各社も、生産機種の統廃合や生産拠点の見直しを進めるとともに、海外での現地生産を強化されようとしています。内示されていた機種案件が、海外生産に切り替えられることもあるので、受注の不安定さが強まってきました。工作機械業界では売上の国内外比が3対7となってきており、“適地適産”に対応するメーカーの海外展開が今後も加速すると見ています。受注環境の著しい変化に対応するために、当社としては国内に残る仕事を中心に、課題を抽出していく必要があります」と語る。

工作機械メーカーからの要求が高度化
SheetWorks を用い、板金加工への工法置換によるコストダウン提案をしているSheetWorksを用い、板金加工への工法置換によるコストダウン提案をしている
同社では、工作機械カバーを主要取引メーカーから数機種受注している。受注は部品レベルから行い、そのうちの数機種は溶接まで対応して、得意先の組立納期に合わせてサブアッシーしたモジュールとして納めている。1機種あたりのロットは10台程度だが、得意先の仕様変更による特急案件も多い。
工作機械カバーの受注環境の変化は、受注量の変動だけでなく、カバー形状をはじめとした要件にもおよぶ。特に工作機械メーカーは、中国をはじめとしたボリュームゾーンに対応するエントリーモデルと、国内外のハイエンド市場向けの高付加価値機種とで生産機種を振り分けてきており、エントリーモデルを海外生産、ハイエンドモデルを国内生産で対応する傾向が強まっている。
ボリュームゾーンに対応するカバーは、どこでも誰でも生産できるように図面の汎用化が進んでいる。それに対してハイエンドモデルは、オペレータの作業環境に配慮したエルゴノミクス(人間工学)を採り入れ、R形状のカバーやステンレスカバーを採用するケースが増えている。同社で受注する機種も、ハイエンドモデルはR形状のカバーが増える傾向にある。...

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