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中国鉄道産業
中国の鉄道関連業界に再び脚光



2012年に入って再度活発化した中国・鉄道関連産業
中国の鉄道建設投資と営業距離の推移/中国・国家発展改革委員会、国家統計局、鉄道部中国の鉄道建設投資と営業距離の推移/中国・国家発展改革委員会、国家統計局、鉄道部
昨年7月に温州市で起きた高速鉄道事故の影響で、2011年の第3四半期(7-9月)に急落を強いられた中国の鉄道関連産業だが、2012年に入り、うって変わったように活発な動きをみせている。
3月に開催された全国人民代表大会(全人代)で、2015年を最終年とする「第12次5カ年計画」を着実に推進するとの方針が再確認され、鉄道部に対する中央政府(国務院)の救済措置が相次いで打ち出された。なかでも、鉄道債の大量発行による資金面のサポートを表明したことで、停止中のプロジェクトや新規案件が次々と再開。高速鉄道の建設はいまだ一服しているが、都市軌道交通(地下鉄、LRT、モノレールなど)の建設が一段と加速している。

2011年第4四半期(10-12月)から好転
中国の地下鉄。ホームドアが設置されている中国の地下鉄。ホームドアが設置されている
昨年7月の高速鉄道事故の後、国務院は高速鉄道の全面的な安全検査を実施。鉄道建設の工事を中断し、新規入札を停止した。9月には、大手銀行が鉄道部向けの融資を引き締めたため、鉄道部向けに製品・サービスを供給する企業の間で売掛金の未回収事態が発生。鉄道関連産業で信用不安が深刻化した。
しかし10月に入ると、状況は劇的に改善する。高速鉄道の安全検査が終了し、国務院は鉄道関連産業の支援に着手。まず、資金繰りに窮した鉄道部に対する大手銀行の融資を実施した。また、鉄道債を政府保証債に格上げすると同時に、利息にかかる税金を半減させた。これで鉄道建設資金の調達問題はほぼ解決した。
また、10月には「内モンゴルから江西省までの1,860km区間に貨物路線を建設する」という新線計画案が新たに浮上した。
さらに、今年3月に行われた全人代では「第12次5カ年計画期間中(2011〜15年)に総延長1 万6,000kmの高速鉄道を建設する」という当初計画は修正されなかった。
これが決定打となって、今後数年間の鉄道投資は、伸び率が減速することはあっても、マイナス成長に転じるとはないとの見方が強くなっている。
欧州の金融不安などの影響で経済成長が減速する中、中国政府は景気の腰折れを回避するために、大規模な公共事業計画を打ち出し、内需主導型の経済発展を行うことでソフトランディングを図ろうとしている。鉄道建設計画は景気の牽引役として、改めて注目が集まっている。...

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