レーザ加工の最新動向

ビルトH形鋼の製作で成長し、形鋼・鋼材の一貫生産に対応
旺盛な設備投資で他社との差別化を図る

株式会社 庄内シャーリング



形鋼・鋼材加工の一貫生産に対応
代表取締役社長の池田恭平氏代表取締役社長の池田恭平氏
「シャーリング・形鋼製作で、当社のように鋼板とステンレスの両方を主力とし、曲げ(ロール)、穴あけ、溶接、矯正、酸洗いまで社内で対応できる企業は、ほとんどありません」と代表取締役社長の池田恭平氏は胸を張る。
(株)庄内シャーリングは、鋼板加工をはじめ、ビルトH形鋼・ビルトT形鋼・チャンネル・アングルといった特殊形状の形鋼の製作や、工場・プラント向けの架台など重厚長大の製品を手がけている。
1968年の創業当時はシャーリング1台による鋼板の寸法切りから始め、その後はガス溶断機(アイトレーサー)の導入を皮切りに、形鋼用大型バンドソー、プラズマ加工機、レーザマシンと厚板切断設備を次々に導入。さらに、ベンディングマシン、ベンディングロール、矯正機、開先加工機、穴あけ加工機に加え、溶接工程、大規模な酸洗設備などの設備を充実させ、建材をはじめとする大型構造物の一貫生産に対応していった。

ビルトH形鋼の先駆けとして成長
シルキーカットに対応するLC-4020F1NT+LST-4020F1(6kW)シルキーカットに対応するLC-4020F1NT+LST-4020F1(6kW)
成長の原動力となったのは、1972年頃に専用の建屋をつくり、他社に先駆けて手がけるようになった「ビルトH形鋼」の製作だった。
土木・建築・橋梁・船舶・道路・工場・プラントなどで用いられるH形鋼には、JIS規格の「市中品」、JIS規格ではないが製鉄所が規格化し、圧延してつくる「ロールH形鋼」のほかに、鋼板を溶接して規格にないサイズや形状のものを製作する「ビルトH形鋼」がある。ビルトH形鋼は、1970年代半ば以降、建築物の大型化・高層化にともなう設計の多様化と構造の複雑化が進んだことで、急速に普及。同社は高度成長期とバブル期の建設ラッシュに歩を合わせ、ビルトH形鋼製作の優位性を武器に業績を拡大していった。
「ウェブ(“H”の横棒に相当する箇所)が1,000mm以上の大型製品や、400mm以下の小型製品、強度を確保するために板厚を厚くする必要があるもの、特殊な切り欠きやロール形状のものなど、規格外のビルトH形鋼を今でも多く手がけています」。
しかし、ビルトH形鋼メーカーが乱立したことによる競争の激化、バブル崩壊、鉄鋼メーカーが取り扱うロールH形鋼のバリエーションが増したことで形鋼製作の市場全体が収縮。さらにリーマンショックまで加わり、同社のビルトH 形鋼関連の消費鋼材量はバブル期と比べ60%の減少となっている。...

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