レーザ加工の最新動向

RI装備の3次元レーザマシンでパイプ加工に取り組む
3次元CADを活用した提案営業が成果を挙げる

有限会社 金属考房ゆう



桑田金属製作所レーザ部門が独立
θの前に立つ専務取締役の牧浦博之氏θの前に立つ専務取締役の牧浦博之氏
航空機・鉄道車両・移動体通信の中継ボックスなどを手がける(株)桑田金属製作所(社長・桑田康彦、大阪府大阪市)の第三製造課のレーザ加工部門が2000年に分社独立し、「(有)金属考房ゆう」が誕生した。同部門の責任者だった牧浦博之さんが手を挙げ、専務として工場経営を任された。
当初はレーザジョブショップとして切断に特化していたが、付加価値を高めるために板金加工分野にも事業を拡げ、曲げ・溶接などの設備も導入。親会社である桑田金属製作所の応援もあって、板金加工技術を獲得し、現在では関西にある複数の大手上場企業と直取引している。
さらに、“適地適産”というモノづくりのグローバル化に対応。異業種交流で知り合った中小製造企業と協業することで、それぞれの企業のコアコンピタンスを活かして、中国でエンジニリング事業を立ち上げた。具体的には、都市化が加速する沿岸地域を中心に、不足する駐車場対策の一環として、立体駐車場(以下、立駐)設備の設計・製造から施工・運営・メンテナンスまでをビジネスパッケージとしたコンサルタント事業をスタート。すでに大連市のローカル企業とコンサルタント契約を締結しており、立駐設備を製造する工場が年内に竣工する。続いて、浙江省杭州市のローカル企業ともコンサルタント契約を締結。中国で展開するエンジニアリング事業は順調に拡大している。

中小企業の知恵を中国ビジネスに活かす
θで加工した角パイプ。スリットを入れ、手折りで曲げているθで加工した角パイプ。スリットを入れ、手折りで曲げている
専務取締役の牧浦博之氏に話を聞いた。
「円高、高い法人税や人件費、少子高齢化、そして電力・エネルギー危機と、日本の製造業を取り巻く環境は厳しい。大手企業は“適地適産”の考えで、生産を海外へ移転しており、国内の産業は空洞化が進んでいます。だからといって、当社のような中小企業が海外へ進出するには大きなリスクがともないます。そこで、資金も人材も出さないでグローバル化に対応できる方法はないかと考え、企業が持つノウハウを利益に換えるエンジニアリング事業のビジネスモデルを考えました」と語り始めた。
「1社では難しかったと思いますが、たまたま立駐の設計や製造、運営や保守メンテナンスなどのノウハウを持つ中小企業と協業することができました。立駐ビジネスは今後中国で拡大すると考えられており、この事業に参入したいと考える中国企業は少なくない。しかし、ノウハウはありません。そこで公共展に参加して『私たちがノウハウを提供してビジネスパートナーになります』という提案を始めました」。...

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