レーザ加工の最新動向

金属加工分野におけるレーザ加工技術の最新動向と今後の展望

株式会社 最新レーザ技術研究センター 代表取締役 沓名 宗春



半導体レーザの発展
中国で開発された武汉锐科光纤激光器技术(Raycus)の 4kW ファイバーレーザ発振器中国で開発された武汉锐科光纤激光器技术(Raycus)の 4kW ファイバーレーザ発振器
レーザ加工機器に関しては、1970年代から1980年代は米国のレーザ機器メーカーが主力であった。1980年代から1990年代は高出力YAGレーザ装置を開発した日本勢の台頭もあった。
しかし、1990年代に半導体レーザの高出力化、高性能化により、従来CO2レーザやNd:YAGレーザが主流であったレーザ加工機器も、高出力半導体レーザ、LD励起のYAGレーザ、ファイバーレーザ、ディスクレーザの出現となり、2000年以降はレーザ加工機器におけるドイツ勢の台頭が著しい。国内でも、数kWのファイバーレーザを搭載したレーザ加工機も市販されるようになっている。

レーザ加工技術における中国の発展
筆者は2009年より毎年3月に上海で開催される「Laser World of PHOTONICS CHINA」(国際レーザ・オプトエレクトロニクス応用技術専門展)に行き、ドイツ、フランス、英国、米国、日本のレーザ機器メーカーが展示するレーザ加工機器を見学するとともに、中国全土の研究機関やレーザ関連企業が出展するレーザ技術を見学してきた。この展示会に最初に参加した2009年は210社の出展であった。
2010年には270社が、2011年には350社が、今年は実に475社が出展し、急激に中国のレーザ技術が発展してきたことを感じた。写真1は今年の展示会の状況を示す。
その内容も大族激光科技(Han's Laser)、武汉华日精密激光(Huaray Precision Laser)、北京开天激光(Kaitian Laser)、武汉华工激光(HG Laser)、苏州德龙激光(Delphi Laser)、武汉锐科光纤激光器技术(Raycus)などの大企業が台頭してきた。その結果、4年前に比べて、中国のレーザ企業がより大きなブースで堂々と展示をしていた。
また、国家の支援で南の温州市、中部の武漢市、北の鞍山市にレーザ企業や研究機関を誘致した総面積数km2のレーザサイエンスパークが建設されている。中国政府のかけるレーザ技術への力の入れようは、すごいものがある。
すでに武汉华日精密激光(Huaray Precision Laser)では各種ナノ秒レーザ、ピコ秒レーザ、20Wのグリーンレーザなどを市販しており、武汉锐科光纤激光器技术(Raycus)では写真2に示すような4kWのファイバーレーザも開発し、市販している。価格が低いので、将来は日本にも入ってくる可能性がある。
この展示会会場の会議室では第7回の「中国レーザ応用技術国際会議」が開催された。著者もこの国際会議に出席し、中国でのレーザ加工技術の実情を調査した。...

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