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積層焼結金網フィルターのトップメーカー
フィルター、ハウジングの製作にも切断・穴あけ・溶接など板金工程が必須

ニチダイフィルタ株式会社



積層焼結金網フィルターのトップメーカー
代表取締役社長の平岩益夫氏(右)と取締役製造グループマネージャーの佐々木弘氏(左)代表取締役社長の平岩益夫氏(右)と取締役製造グループマネージャーの佐々木弘氏(左)
同社は、精密金型・精密鍛造品およびその関連する成形品の開発・製造・販売などを行う(株)ニチダイ(社長・古屋元伸氏、京都府京田辺市)から2004年に分社独立して設立された。ニチダイは「他社ではできない製品と、他社の追随を許さない高い技術力」を追求し、「オンリーワン企業」を目標に掲げ、1974年に金型製造部門の真空炉を使って、ステンレス金網の焼結(拡散接合)パネルの生産を開始。その後も大型真空炉を導入して、ステンレス金網を積層焼結したフィルターを開発し、石油化学・食品・医薬品など多様な産業で用いられる焼結金網フィルターの開発・製造・販売を行い、「フィルター事業」を拡大していった。
2001年には、同社の液体燃料フィルターを搭載したH-U Aロケット1号機がJAXAによって打ち上げられた。
2003年、宇治田原工場に完成した第4工場にフィルター事業の製造部門を移転。翌年の2004年4月にはニチダイからフィルター事業を分離し、資本金3,000万円でニチダイフィルタ(株)が設立された。
2007年には関西金網(株)と合弁で、タイ王国ランプーン県にThai Sintered Mesh Co.,LTD(TSM)を設立し、積層焼結金網フィルターの海外生産も開始している。

ニチダイグループで売上比11%を占める
同社で製作している「液体ろ過用積層焼結金網フィルター」同社で製作している「液体ろ過用積層焼結金網フィルター」
ニチダイグループ全体の売上は2011年3月期では103億円。このうちニチダイフィルタの売上は11%の11億3,600万円となっている。目開きの安定性などに優れている。
その結果、積層焼結金網フィルターの用途は広く、液体・ポリマー(粘体)・気体・粉体のろ過、散気(アトマイザー)、整流、熱交換器(ヒートポンプ)、マイクロバブル・ミリバブル発生、ミスト除却、オゾンガス分解・除去(オゾン分解フィルタ)など様々な分野で活用されている。
優れた製品特性を備えているだけでなく、フィルターとしての寿命も長い。ひとたび納入されれば、装置やラインの変更の際にフィルターを取り外してクリーニングを行うことでリユースが可能で、ライフサイクルは長い。こうした需要に対応して、同社では竣工したばかりの第5工場内に積層焼結金網フィルターを洗浄して、リユースに対応できるようにする再処理工程を新設したほどである。
このことは逆に、フィルターを使用する装置やラインの増設が少ないと受注増加につながらない面があり、国内では新しい需要を開拓しない限り市場の拡大は見込めないため、ステンレス焼結技術を活かしたフィルター以外の市場開拓と海外展開を行っている。
そこで同社は2008 年、関西金網(株)と合弁でタイへ工場進出し、焼結パネルのみを製造販売。2010年10月にはフィルター製品製造工場が完成し、2011年1月からはタイでのフィルターの本格生産が始まった。同社とTSMの両社を合わせた焼結金網パネルの生産量は、世界最大級となった。...


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