地域でがんばる板金企業



自社の存在意義を問い直し、 企業価値を高めよ
企業を自主廃業させないために

自主廃業件数が倒産件数の2 倍で推移

休廃業・解散件数と倒産件数の年次推移/東京商工リサーチ休廃業・解散件数と倒産件数の年次推移/東京商工リサーチ
信用調査会社・東京商工リサーチの 調査では、2011 年に休廃業・解散した 企業は2 万5,402 件と、2 年連続で年 間倒産件数の約2 倍で推移した。
2011 年の「倒産件数」は6 年ぶりに1 万3,000 件を割り込み、沈静化してい る。しかし、倒産に集計されない「休 廃業・解散件数」は高水準で横ばい状 態。水面下では、事業継続を断念す る企業が多いことが浮き彫りとなった。 景気が低迷する中で、事業不振に陥っ た企業や、後継者難などの様々な要因から事業継続を断念する企業は増加傾 向となっている。さらに、事業改善の 見通しが立たない企業は「自主廃業」に 舵を切るケースも増えるとみられ、今 後の動向に注目する必要がある。
休廃業・解散の件数を地区別にみる と、3.11 東日本大震災で被災した東北 の増加幅が最も大きい。同地区は、津 波やその後の原発事故で事業資産が 流出したり、避難地域に指定されたり して、事業を継続できないケースが相 当数あることが背景にある。今後の震 災復興の本格化にともない、土地の手当てや離散した従業員のことなどを考 慮して、事業再建を断念し、休廃業・ 解散を選択するケースが増える可能性 もある。

4 人以上9 人以下の事業所数は 10 年で半分に
自社が直面している課題/ 2011 年度中小企業白書「産業・生活を支える企業に対するアンケート調査」自社が直面している課題/ 2011 年度中小企業白書「産業・生活を支える企業に対するアンケート調査」
経済産業省が発表した2010 年の「工 業統計」によると、国内における製造 業の事業所数(従業員10 人以上)は12 万3,844 カ所(2010 年末時点)となり、 4 年連続で減少。従業員数も約697 万 人と3 年連続で減少した。
最も減少幅が大きいのは、従業員が 4 人以上9 人以下の企業で、この10 年で半分になった。かたや従業員3 人 以下の零細企業は、今のところなんと か踏ん張って、20% 減に留まっている。
4 人以上9 人以下の企業が10 年で 半減した大きな理由は、社長が“スー パーマン”として経営・営業・製造な どを兼務している場合が多い中で、資 金難・後継者難で廃業に追い込まれる ケースが多いためだ。その一方、3 人 以下はほとんどが家内工業で、家族 従業員で操業しているため、資金難や 受注量の減少があっても何とか踏ん張 れるという事情もあるようだ。しかし、 先行きの見えない家業に見切りをつけ る後継者も多く、今後は減少幅が拡大 する懸念もある。
従業員が4 人以上9 人以下の企業 では、社員を抱え、設備も一定規模を 備えていることから、飲まず食わずで がんばるというわけにはいかない。そ れだけに倒産という事態を迎える前に 自主廃業・解散する企業が多いという 事情があるようだ。...

つづきは本誌2012年5月号でご購読下さい。