〜食糧安保が後押し──市場拡大が続く農業機械〜

農業機械関係の売上が93%グローバル進出も効果的に作用
農業機械市場の潮目を読み、様々なコラボレーションを図る

オカネツ工業 株式会社



一元生産体制を軸に国内工場と中国工場を安定経営
代表取締役社長の和田俊博氏代表取締役社長の和田俊博氏
同社の本社工場は、岡山県岡山市の児島湾に面した工業団地の一角にあり、敷地面積は3万4,745m2
同社の母体は、1948年に発足した岡山県陸用内燃機工業協同組合。その後、着実に業容を拡げ、現在は製品開発から出荷まで一貫対応する一元生産体制を確立し、農業機械などをOEM生産する企業に成長。2008年には、中国・江蘇省常州市に冈热机械(常州)有限公司(以下、冈热机械)を設立し、海外での生産を始める。
また、同社のグループ企業には、板金加工に特化したオカネツ金属工業(株)(岡山県岡山市中区)、同社の製品の梱包や倉庫業、国内外の配送を請け負うフォーマー物流(株)(同敷地内)、オカネツグループのシステム運用保守やソフト開発・システム構築などを主業務とするネッツ・ソリューション(株)(岡山県岡山市中区)がある。
2011年度の売上高は本社単体で約77億円、2012年度もほぼ同程度が見込まれ安定している。同社で製作している完成品は、自社製品・OEM製品を合わせて22機種、70型式。アセンブリー数は約300点、歯車などの部品まで含めると4万点以上に及ぶ。
直近の本社事業構成は、車軸アセンブリー(50%)、小型農業機械完成品(27%)、トランスミッション及びギアボックス(14%)、歯車加工品(9%)。
2012年2月には自社ブランド製品を発売するなど、事業を強化拡大している。

板金製品を海外調達してもコストメリットが少ない
同社で生産している管理機同社で生産している管理機
日本のモノづくりの空洞化について、代表取締役社長の和田俊博氏は「当面は日本国内の空洞化が続いていくと見ていますし、板金加工業への影響も如実に出てくると思います。今後も地産地消の流れは変わらないでしょう」と分析する。
和田社長は続けて「その一方で、中国などで生産した板金製品を日本に持ち込み完成品にするという生産手法は、ある意味ではタブーです。基本的に板金製品は運送時に『空気も余分に運ぶ』と表現され、製造時のコストメリットがダイレクトに反映される製品ではありません。もちろん価格格差が大きい板金製品は海外調達をしていますが、継続していくべきか否かは熟考が必要です」。
「中国では、物品の販売・加工・修理、物品の輸入を行った場合に17%の増値税(日本の消費税に相当)がかかります。海外へ輸出する際に納付書を提出すればいくらかの還付はありますが、最近は戻らない場合もあります。増値税を踏まえて分析・比較をすると、日本生産と中国生産とではほとんど差がありません。また、陸上・海上輸送のコストも発生しますし、日本で管理するより高くつくこともあります」。
今後の展開を見据えつつ、従業員には「為替相場の動向は誰にも分からないが"もしも"を想定し、リスク管理を徹底しなさい。調達も一極集中にならないように」と、グローバル戦略について熱心な指導を行っている。...

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