〜市場の変化に対応する配電盤業界の新潮流〜

リーマンショック後のピンチをチャンスに
2期連続売上20%増のV字回復を実現
設備力が仕事を呼び、提案力で“パートナー”となる

有限会社 宇野澤鉄工



リーマンショック後のピンチをチャンスに変える
代表取締役社長の宇野澤定雄氏代表取締役社長の宇野澤定雄氏
「通常を100とするなら、現在抱えている仕事量は200。休日返上で稼働し、私自身、塗装工程の乾燥炉の火を毎晩深夜2 時頃に落とすのが日課になっています。正月休みも元日の1日だけでした。増え続けるお客さまからの依頼に“うれしい悲鳴”です。今年1年もまちがいなく、このペースのまま走り続けることになるでしょう」と宇野澤定雄社長は語った。
同社はキュービクル・配電盤・分電盤・制御盤・操作盤といった各種盤関連、医療機器関係をメインに手がける筐体板金メーカー。板金加工から溶接組立、仕上げ、粉体・焼付塗装まで社内で一貫して対応できる体制を築いている。
リーマンショックで落ち込んだ後も設備投資に積極的で、自ら営業は仕掛けないスタンスをキープ。それでいて、同社を見出してくれた得意先を逃さず、厳しさを増すQ,C,D要求に応えながら、VA/VE提案を積極的に行うことで、大手メーカー数社をはじめとする得意先から絶大な信頼を勝ち取っていった。
リーマンショック後の2009年は業績が落ち込んだものの、2010年以降は2期連続で売上20%増というペースでV字回復。新たに築き上げた実績がさらに新しい仕事を呼び込むかたちで成長を続けている。まさに、ピンチをチャンスに変えた実例といえるだろう。

設備力と会社規模が仕事を呼び、仕事が仕事を呼ぶ
曲げ工程。導入したばかりのHDS-2204NT(右)とHDS-5020NT(中央)をはじめ5台のネットワーク対応型ベンディングマシンが設備されている曲げ工程。導入したばかりのHDS-2204NT(右)とHDS-5020NT(中央)をはじめ5台のネットワーク対応型ベンディングマシンが設備されている
前年比20%増の売上を達成した2011年は、果敢に設備投資を行った。
小物の盤の溶接組立を手がける新工場を建設し、ロボット溶接機を設置して、ロットの大きい小物製品の生産能力を高めた。また、出力4kWのCO2レーザマシンLC-3015F1(以下、F1)を13段のパレットチェンジャー付きで導入。さらにベンディングマシンHDS-2204NTとHDS-5020NTを各1台導入し、ブランク・曲げ・溶接組立の3工程で生産能力を増強した。
「タマゴが先かニワトリが先かという話になりますが、設備は会社に体力があるときに整えておくべきだと考えています」と宇野澤社長は力強く語る。
「盤業界すべてに言えることですが、現在は設備力と会社規模が、お客さまの判断基準として非常に大きなウエイトを占めます。そのうえで他社との差別化を図ろうとすれば、周囲からは無茶と言われようと、リーマンショック後の回復局面に入った段階でいち早く会社規模の拡大と設備強化を図り、前へと進むしかありません。もちろんリスクが高いことは承知していましたが、そうでなければ決してリターンは得られません。そのおかげで当社は今、仕事が仕事を呼ぶ“良いスパイラル”に入っています」(宇野澤社長)。...

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