〜Industrial Trend〜

2012年鉄道車両業界の需要見通し
国内市場は頭打ち、鉄道車両メーカーは海外比率を高める


2012年度の国内需要は1,443両を見込む
2011年に台湾鉄路管理局から受注した通勤電車「EMU800」の完成予想図/ 日本車輌製造のプレスリリースより2011年に台湾鉄路管理局から受注した通勤電車「EMU800」の完成予想図/ 日本車輌製造のプレスリリースより
(社)日本鉄道車両工業会が、このほどまとめた2012年度の鉄道車両の需要見通しによると、12年度は国内と海外(国内生産分)を合わせて1,602両、国内需要は1,443両となる見込み。2011年度の国内需要は1,754両になると予想されることから12年度の国内需要は前年比で約18%減となる見通し。
落ち込みの要因は、JR東海・JR西日本向けの新幹線車両N700系の集中投入が2011年度に完了したことに加え、鉄道事業者によっては、震災後の減収や復旧費用等の増加にともなうキャッシュフローの減少を考慮して、2012年度の設備投資額を縮小していることが挙げられる。

JR 新幹線・在来線は軒並み減少
日立製作所の英国向け高速鉄道車両日立製作所の英国向け高速鉄道車両
2012年度の新幹線車両の需要は285両と前年度の410両から約30%減と大幅に落ち込む見込み。2011年度にJR東海・JR西日本向けのN700系の集中投入が一段落したことが大きく影響した。その一方で、東北・秋田新幹線(JR東日本)向けのE5系・E6系の量産や、東海道新幹線(JR東海)向けの省エネ型新幹線N700A系の投入開始といった明るい話題もあり、2013年には増加に転じることが予測されている。2013-2020年度までの年間平均需要は、約334両が見込まれている。
JR在来線に関しては、JR東日本のE233系(京葉線など)やE657系(常磐線特急)、JR東海の313系(中部近郊圏電化対応向け)などへの更新需要で485両を見込んでいる。今後10年ほど同程度の需要が続くと予測される。
東京メトロをはじめとする地下鉄車両の需要見通しは150両。2011年度の225両と比べ、約33%の減少。今後も同水準で推移していくとみられている。
関東・関西・中部・九州の大手私鉄は、合計で335両と前年度の205両から約63%増と大幅に伸びると見込む。また、鉄製構体の車両が多く老朽化が進んでいるため(関西以西では60%以上)、今後も順調に更新需要が続くと見られる。ただし、関西以西の地域では乗客数の低減傾向が続き、収益は厳しいものとなっている。
そのほか、路面電車が20両、機関車・貨車・気動車・客車が合わせて152両となっている。...

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