〜Sheetmetal World〜

景気の変態点を迎えたアジア経済
注目は堅調な発展を続けるインドネシア2012年央までは減速傾向が続く中国



インフレの加速で金融引き締めが強化され、中小企業の倒産が目立ち始めている中国、同様にインフレの加速により、先行きの不透明感が払拭できないインドなど、これまで世界経済を牽引してきたアジア各国の景気がゆるやかに減速している。そんな中、相変わらず堅調なのがインドネシア。第3四半期(7〜9月期)のGDP成長率も6.5%増で、第1四半期、第2四半期と変わらないペースで成長を続ける。直近の経済データから、インドネシアと中国の経済動向を分析した。
インドネシアの成長要因――底堅い輸出と個人消費
インドネシアと中国の実質GDP成長率推移(2010年まではIMF発表の実績値。2011年はOECD発表の予測値)。中国では国家主席が交代する年は経済面でも成長する傾向があるインドネシアと中国の実質GDP成長率推移(2010年まではIMF発表の実績値。2011年はOECD発表の予測値)。中国では国家主席が交代する年は経済面でも成長する傾向がある
インドネシアの第3四半期の経済成長の内訳を需要別に見ると、輸出が前年同期比18.5%増と大幅に伸び、4〜6月期(同17.5%増)を上回る勢いとなっている。内需も、消費が同4.5%(4〜6月期は同4.6%増)、設備投資が同7.1%増(4〜6月期は同9.4%増)と、若干鈍化しているものの、依然として好調を維持している。インドネシアの場合、石油・液化天然ガス・石炭などの燃料、油脂・ゴム・木材とその加工製品が主要品目となっており、景気後退期でも一定の輸出量が見込める特徴がある。2012年は世界経済の低迷が影響し、輸出の伸びは鈍化するとみられる。しかしながら、昨年末には外貨建ての長期債の格付けをBBB−(マイナス)の投資適格格付けに引き上げたことを受け、投資家からの信認も高まり、株価も堅調に推移するとみられる。

中間所得者層の増加で耐久財の需要が拡大
インドネシアの日系プレス工場インドネシアの日系プレス工場
インドネシアは世界第4位の人口を抱え、若年層が多いピラミッド型の人口構成であることから、潜在的な消費需要が生まれている。経済成長とそれにともなう個人所得の向上により、消費者の購買意欲も高い。中間所得層が増加したことで、付加価値の高い耐久財への需要が拡大。ただし1人あたりGDPは約3,000ドルと、マレーシアやタイと比較して少ない。
自動車の本格的普及には至っておらず、これから本格的な自動車ブームが巻き起こる可能性が高い。その反面、2輪車の販売実績は2010年に過去最大の720万台を記録。これは中国・インドに次ぐ販売台数であり、現在も増加を続けている。今後は2輪車から自動車へのシフトや、所得格差の縮小により、農村部への2輪車普及などが見込まれるため、自動車・2輪車・電気製品を中心とした需要が底堅いと見られている。...

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