〜AMADA中国展2011レポート〜

III 会場で聞いた来場者の声
“自動化”に大いなる関心を示した中国ユーザー
これからの熾烈なメガコンペティションを予感した台湾・韓国ユーザー



中国ベンダーの勢いを感じた「AMADA 中国展2011」
12月16日から4日間にわたって(16日はプレ開催)中国・上海市の「世博展覧館」で開催された「AMADA 中国展2011」(AMADA Innovation Fair 2011 in China:以下AIFC)には1,800社、6,000人超もの来場者が、中国全土や台湾・韓国・日本などから訪れた。年末に開催されたにもかかわらず、来場者は出展された50機種を超す加工マシン、ソリューション、金型、ソフトウエアなどを熱心に見学。インフレ抑制で金利が上昇している情勢下にもかかわらず積極的な商談を行った。
レーザ、パンチング、ベンディングの自動化ソリューションを展示した「最先端自動化パビリオン」には、会期を通じて来場者が絶えることなく、自動化に対する強いニーズが感じられた。その一方で台湾・韓国・日本のユーザーは、中国ローカルユーザーの積極的な購買意欲に改めて驚く様子と、近い将来に予想される中国ベンダーとの熾烈な国際競争や、これからのメガコンペティションにどうしたら勝ち残ることができるのか、に思いを馳せていたように見えた。
そこで編集部では、会場を訪れた来場者に、アトランダムに来場目的や関心を持ったマシンやソフト、現在の業容、これからの見通しについて話を聞いた。

2012年、新規開拓で受注量50%増を狙う
「レーザパビリオン」では、レーザ加工後のワークを目や手で確認する光景が何度も見られた「レーザパビリオン」では、レーザ加工後のワークを目や手で確認する光景が何度も見られた
同社は、上海市に工場を持つ従業員20〜30人規模の板金ジョブショップ。4年前に独立を果たし、現在のメインの得意先はドイツの工作機械メーカー、日系の大手総合家電・電子メーカーなど。医療機器や昇降機も手がける。設備はパンチングマシンEMZ-3610NT、ベンディングマシンHDS-NTシリーズなどのネットワーク対応マシンや2次元CAD/CAM AP100を設備。使用材料は、鉄系が80%程度で、残りがステンレス。板厚は0.5〜20mm薄板から厚板まで幅広く対応している。
「当社は、日本やドイツをはじめとする世界各国のトップメーカーから仕事を任せてもらっていますが、今後も新規開拓の営業活動強化を推進していきます。2012年は売上の50%増を目標に、一流企業や新分野への新規開拓をこれまで以上に積極的に行っていきます。マクロ経済は厳しいですがこの目標は達成できると見込んでいます」と自信を覗かせる。
「創業して日が浅い当社では、ヒトからマシンへ――という自動化による負担軽減・効率性アップを重視しています。汎用機と単能工を必要なだけ配置する従来型の生産体制ではなく、生産性の高い加工設備を積極的に導入して社員の補充は極力控えるようにしています。限られた人数で変動する仕事量にフレキシブルに対応するために、社員は最初から多能工として育てる方針で、現場の作業員にも複数工程だけでなく、受注処理など事務のレベルまで習得させます」。
「とはいえ、もちろん物理的な限界はありますから、そういう時にはEMZやHDSなどのネットワーク対応マシンが大いに活躍します。作業者への負担を軽減するだけでなく、2交代制の時など、作業者が替わることで生じやすい加工品質のバラツキを抑制する意味でも、ネットワーク対応マシンは効果的です。2012年中にはEMZ-3610NTをもう1台導入し、生産能力を増強する計画です。今回の展示会では自動化パビリオンが参考になりました」。
「新規取引の商談の席で最も重要なのは、設備の力ではなく人間的な魅力です。お互いに『この人と一緒に仕事がしたい』と思えるような関係を得意先と築けたからこそ、当社はここまで成長できたと思っています」。...

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