そこが聞きたい - 税の話
大増税と国外への財産移転

税理士 毛塚勝貴



(1)大増税時代の到来
政府は昨年12月30日、「社会保障と税の一体改革」に係る5閣僚会合を開き、消費税率を平成26年4月に8%、翌27年10月に10%と、2段階で引き上げることを柱とした一体改革大綱素案の政府案を決定しました。その一方、政府税制調査会は同30日において、消費税以外の税目、主として高額所得者・富裕層に対する増税を念頭に置いた所得税・相続税の抜本的な税制改革案をまとめました。
所得税については、課税所得が5,000万円を超えた場合、新たに45%の最高税率を課する案が出されました。現行、課税所得が1,800万円を超えた場合、40%の最高税率が課されていますが、これを5%引き上げるというものです。但し、地方税である個人住民税10%(道府県民税4%、市町村民税6%)もこれに併せて課されており、個人所得に対する実質的な最高税率は50%となっています。改革案通り、最高税率が5%引き上げられれば、これが55%に跳ね上がり、更に復興特別所得税が25年間に亘って2.1%定率増税されるため、高額所得者の負担増は相当なものになります。...

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