〜Event〜

「FABTECH 2011」開催



2009年比35%増ー過去最多の来場者数を記録
「製造ルネッサンス」に対応して板金業界も活況を取り戻す
世界80カ国から1,300社・団体が出展
来場者で混雑する会場来場者で混雑する会場
板金加工、金属成形、2次加工、溶接および仕上げ関連の世界最大のイベントである「FABTECH 2011」が、2011年11月14日から17日までの4日間、米国イリノイ州シカゴのマコーミックプレイスで開催された。
シカゴでの開催は2009年以来2年ぶり。同展は毎年、全米諸都市を巡っているが、隔年で戻ってくるシカゴ開催時が規模的には最大となる。今回は、正味面積4万8,000m2( 52万2,000平方フィート)を超える広さの会場を埋め尽くし、世界80カ国以上から1,300社・団体が出展、過去最大の3万5,457人(2009 年比35%増)の来場者が訪れた。
今回は、世界同時不況の影響が色濃く残っていた2009年の前回シカゴ開催時に比べ、出展社数・展示面積・来場者数すべてで増加となっており、リーマンショックからの立ち直りが顕著に見られた。
主催者であるアメリカ溶接協会(AWS)とアメリカ板金製造者協会(FMA)は「FABTECHには、生産性を向上して収益を伸ばし、競争の激しい今日のビジネス環境で生き延びる新たな方法を見出すために必要なツールがすべて展示されている。FABTECHだけで、来場者はあらゆるニーズを満たすことができる」と述べている。

技能者育成に関するフォーラムも盛況
アマダアメリカが出展したファイバーレーザマシン「FOL-3015AJ」アマダアメリカが出展したファイバーレーザマシン「FOL-3015AJ」
出展者数・来場者数で盛り上がりを見せた今回のFABTECH のもう1つの見どころが、「America's Challenge」と題したフォーラム。アメリカの製造業を代表する識者が講演者となって、アメリカの製造業の復権、製造業の復活について様々な提言をし、お互いに活発なディスカッションを行った。
熟練技能者の育成に関するフォーラムで語られた内容を、ここに一部紹介する。
――現在のアメリカの失業率は9%前後と高止まりしている。特に20歳から24歳までの若年層の失業率は14.7%まで上昇している。さらに16歳から19歳の若者の就業率は今や26%を切る史上最低の水準まで落ち込んでいる。それだけに雇用問題はアメリカ経済にとって大きな課題となっている。その一方で製造業では資格のある労働者の不足が大きな問題となっており、ある調査では熟練工不足は全米で60万人以上といわれ、製造業の56%の企業経営者は、熟練工不足が次の3〜5年でさらに増加すると予想している。
大型のベンディングロボットシステム「ASTRO-165W」大型のベンディングロボットシステム「ASTRO-165W」
連邦議会でもアメリカ製造業を復活させ、「製造ルネッサンス」を実現させるためには、熟練工を育成するための教育プログラムやトレーニングの開発が重要との認識が高まっており、仕事を求める求職者のために、効果的なトレーニングを行うといった取り組みが始まっている。
製造業は、アメリカの景気回復にきわめて重要である。そして、アメリカでより多くの製品をつくれるようにするためには、技能者の育成が必要、との認識が拡がっている。
「アメリカが単にサービス経済だけに依存していれば二流国になってしまう」という強い危機意識が、アメリカの産業界にはある。そのため、若年層に対して、スキルを磨くことが生計を立てるための最善の方法だと教える必要がある――フォーラムでは、このように語られていた。...

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