〜2012年を占う〜

II 主要業種別展望
板金関連業種の2012年のトレンドを探る
欧州の信用不安や新興国のインフレで減速する世界経済。予断を許さない厳しい年に



新春企画として主要な業界ごとに直近の実績・動向と、2012年以降の展望をまとめた。

2011年後半は世界経済の減速・円高の影響で、当初予測よりも下振れ
1981-2012年までの実質GDP成長率(前年度比)推移/内閣府「四半期別GDP 速報」、2011-12年は(社)経済企画協会「ESPフォーキャスト調査」より1981-2012年までの実質GDP成長率(前年度比)推移/内閣府「四半期別GDP 速報」、2011-12年は(社)経済企画協会「ESPフォーキャスト調査」より
2011年度後半は、3.11東日本大震災(以下、震災)の復旧・復興需要により景気回復が続くと思われていたが、実際には中国・欧州をはじめとする海外経済の減速や円高の影響を大きく受け、当初予測よりも下振れしている。
国内は、震災直後の供給制約で減少した在庫分を補う動きと、震災で毀損したインフラの復旧・再興などの復興需要が顕在化してくることで、回復基調を維持するとみられる。輸出に関しては、自動車など震災直後に急減した海外在庫を補う動きが続くことが下支えとなるが、欧米中経済の減速や円高、IT関連需要の世界的な伸び悩みが影響して、2011年度後半に入ってからは徐々に停滞感がでてきた。

2012年度、上期は設備投資などが上向き、下期は減速の恐れもある
2012年度の上期は、公的資金を使った復興需要は高水準が続くものの、伸びは鈍化していくと予想される。その一方で、雇用や所得の回復、震災による消費者に見られた消費抑制基調から、個人消費の緩やかな回復や、生産の回復・消費の拡大に伴って企業業績が回復に向かい、設備投資が上向くことが想定され、民間需要が成長を押し上げることが期待されている。だが、欧米・中国の減速や円高の影響を受けることによって輸出が伸び悩み、外需による押し上げは大きくは期待できそうにない状況となっている。
2012年度下期も、外需への期待が薄くなる中で、震災復興需要も緩やかに減少していくことが考えられる。反面、政府や地方自治体などによる復興計画・都市計画が確定していく中で、予算枠の策定によって、板金関連産業では2012〜2013年頃に上モノの施設に使われる板金需要がでてくる可能性もある。マクロ経済は輸出の伸びが低位に留まり、公的需要も緩やかな伸びで推移するとみられ、景気が尻すぼみになる可能性も高い。実質GDP成長率は民間調査機関の予測では+2.0%程度だが、年度後半にかけて減速感が強まる可能性も高い。...

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