〜食の安全・安心を支える厨房機器〜
中小メーカーが多い業界構造 厨房機器とは、レストラン・喫茶店などの「外食産業」、スーパーマーケット・持ち帰り弁当店など、家庭の外で調理された惣菜などの食品を購入して持ち帰り、家庭の食卓で食べる「中食産業」、さらに、病院食・機内食・社員食堂・学校給食などの「集団給食施設」で用いられる機器の総称。 大まかに分類すると、レンジや焼物器などの熱調理機器類、冷凍・冷蔵庫類などの低温機器類、食器洗浄機などの洗浄消毒機器類、瞬間湯沸器などの給湯関連機器類がある。 厨房機器メーカーには(株)マルゼン、タニコー(株)、日本調理機(株)、(株)フジマックなどの専業メーカーのほか、クリナップ(株)などの家庭用厨房機器メーカーもあり、さらにはパナソニック電工(株)などの家電メーカーなども参入している。 厨房機器に対するニーズは、経営規模や業務内容・形態、販売品目によって多種多様であり、必然的に多品種小ロット生産となるため、スケールメリットは少なく、中小メーカーが多い業界構造となっている。 (社)日本厨房工業会の統計では、厨房機器の出荷額はピークでも3,500 億円となっており、ここ最近は景気変動に大きく左右されることなく、3,000 億円から3,500 億円の間を推移している。前記した専業メーカーのトップ企業の中にも、年間売上高で業界シェアの10% を超えるメーカーはほとんどない。 家庭用業務用機器のステンレス鋼板受注は年間20 万トン 厨房機器業界では、衛生面や手入れのしやすさ、見栄えを重要視するため、主要材料としてステンレス鋼板が使われている。そのため、家庭用業務用機器向けのステンレス鋼板の需要動向が、業界のトレンドを知る手がかりとなる。 図2 のステンレス協会の資料が示すように、ステンレス鋼板の受注動向は、1990 年当時の26 万トンをピークに、2007 年に20 万トン程度まで落ち込んだ。... つづきは本誌2011年12月号でご購読下さい。 |