〜企業の節電対策と効果〜

屋上緑化で工場の室温を緩和
コンプレッサを7台からインバータ付き2台に減らし節電効果大

株式会社アリギス



企業の柱
屋上の芝生の上でフットサルの華麗な足さばきを見せる代表取締役社長の須田耕司氏屋上の芝生の上でフットサルの華麗な足さばきを見せる代表取締役社長の須田耕司氏
環境理念「省資源・省エネルギーの推進を通して社会に貢献し(中略)住み良い地球と豊かな社会、豊富な資源を残すよう努めます」――とある。まず、社名からしてユニーク。イソップ童話の「アリとキリギリス」から付けられた社名であるが、単にアリは働き者、キリギリスは怠け者の善悪二元論ではなく、要はアリのように一生懸命働き、キリギリスのように情緒豊かに人生を謳歌する――というコンセプトがあり、社名を体現するかのように、アリの目玉のように目える社屋が、前橋という緑豊かな地域の中、童話の国のような雰囲気を醸し出している。
同社のホームページの巻頭に「4S」という言葉が目に入る。製造業の習いで4S、5Sとは職場の整理整頓といった社員教育の標語である場合が多いが、同社の場合、Smile(笑顔)・Service(奉仕)・Speed(迅速)・Sincerity(誠実)といった、モノづくりの現場だけでなく、生き方そのものまで含んだ内容になっている。

今年の節電対策
レーザマシンFOL-3015NTに材料が自動でセットされるレーザマシンFOL-3015NTに材料が自動でセットされる
社長に就任して7年目の若き3代目社長須田耕司氏に節電対策について聞いた。
「先の代から、当社は他の製造業とは幾分異なったユニークな経営方針を採っていました。生産設備・技術を最適にして高品質なモノづくりを通して社会貢献するのはもちろん、社員の雇用、社会・地球の環境保全をも重要課題の1つとして実践し、内外にアピールしてきました」。そのような背景の下、「震災についてはお陰さまで、建物などの構造物に対しては、影響はほとんどありませんでした。しかし、電力不足から大口需要家にはピーク消費電力量に対して15%減の要請があり当社は大口需要家ではありませんが、自主的に実践したのは次の2つです。1つは、従来の事務所スペースをパーティションで半分に区切り書庫とし、冷房電力が従来の半分で済んだこと。もう1つは工場内にあったマシン用のコンプレッサ7台をサージタンクとインバータ制御のコンプレッサを含む2台に減らしたこと。集中配管工事と電磁弁の付け替えなど多少の出費はあったものの、7台分のコンプレッサが2台になったことで電力だけでなく、メンテナンス費用も軽くなり、全体の電気使用もグンと減りました。また、従来の電灯をLEDに変えたことで電気代は1/6にまで落とすことができました」とグラフを提示しながら取り組みと成果を話す。また、事務所を見せてもらったが、半分にしたといっても、まだまだゆったりとしたスペースがあり、こせこせした感じはまったく無かった。
さらに特筆すべきことは、節電が叫ばれるよりはるか以前の2004年に社屋の屋上に芝生を張り、暑さ寒さの温度調節に「自然」の恩恵を受けたこと。1994〜1997年にかけて工場・事務所に続き第二工場新築、その後に屋上緑化(2,520m2に芝生を張り付けた)による温度緩和が夏冬に効果的だったことが挙げられる。...

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