〜企業の節電対策と効果〜

チラーの屋外設置、コンプレッサの効率化などで、年間1,300万円を抑制
井戸水をスプリンクラーで工場屋根に散布冷熱効果を高め、ヒトにも地球にも優しいモノづくり

沖電気工業 株式会社



各方面から注目を集める早い取り組み
インバータ制御のコンプレッサの排熱を冬場に利用するため、ダクトの配管を工夫したインバータ制御のコンプレッサの排熱を冬場に利用するため、ダクトの配管を工夫した
この11月1日で、創業130周年を迎えた沖電気工業株式会社(以下、OKI)は、日本最初の通信機器メーカー。東京本社のほかに芝浦・蕨に主要事業所があり、本庄や高崎・富岡などに生産拠点を持つ。
メカトロシステム工場はシステム機器の小ロット生産に対応できる高付加価値生産拠点として位置づけられている。メカトロシステム工場は、OKIのシステム機器の主力工場で、部品をつくる製造部と装置組立を行う生産部がある。主製品は現金処理機、銀行・郵貯・コンビニ向けのATM、鉄道会社向けの発券機などで、板金加工からサブ組立・メカトロ組立・検査まで行う。
節電・省エネでのモノづくりを志向する同社は、早くから社員の制服を通気性・発汗性の良いポロシャツに切り替え、作業員の働きやすい環境を整えた。
次に着手したのは、地球環境への負荷を低減したモノづくりの体制構築。チラーの屋外移設やコンプレッサをインバータ制御に更新することで、電力使用量の最適化を図るとともに、排熱を冬場の工場内の暖房に利用したり、屋上に架設したスプリンクラーから地下水を散布、気化熱の効果で工場内の室温上昇を緩和。その取り組みと効果はテレビや一般紙などでも紹介された。
これらの取り組みの陣頭指揮を執った同社製造部の山科良宣部長に聞く(以下の発言はすべて山科部長)。

チラーを屋外に移設し、熱源を効率よく使う
サージタンクは急激なエアーの圧力変化などの予防のため配置しているサージタンクは急激なエアーの圧力変化などの予防のため配置している
年間320日24時間運転のメカトロシステム工場は、ハイテクマシンをフル活用し、高効率な生産を行っている。しかし、ブランク工程にパンチ・レーザ複合マシンが導入されるたびに、レーザ用のチラーも増え、稼働時間が長いとその分、チラーの熱でこもった工場内の温度が上昇し、空調効果を阻害していた。そこで2009年頃から「ブランク加工マシンが設置してあるC棟が暑いから何とかしたいね」という話が持ち上がり、2010年度から省エネに取り組み始めた。
「従来のチラーは、夏場はC棟内の空調の効いた空気を吸い込んで、外に排出していました。2010年度にEMLのチラーを2台、工場外であるB棟とC棟の間に移設。ダクトの工事も行ったことで、C棟内の空調の効いた冷気を吸わせないようにしました。また、冬場は外気を吸い込んで暖められた空気をB棟内に採り入れることで暖房代わりにしました」。
「チラーの屋外移設による節電効果は、2010年度の実績値でみると、夏場の電力使用量が前年度比34kW/h減、6万5,464kW/年の削減を達成しました。また、B棟のチラー移設による排熱利用の効果として、冬場の重油使用量は前年度比43%減、年間16.7klを削減しました」。
「2011年度はC棟に残ったチラー5台のうち、さらに2台を屋外に移設し、夏季のC棟冷房効率を改善するために、チラーの熱を屋外に排出。それにより、電力使用量は34kW/h削減される見込みで、空調機11台中2台が停止のままです。ただ、屋外設置の場合、直射日光やチラー自身の発熱でチラー内の温度が46℃超まで上昇してしまうこともありますので、チラーに屋根をかけたり、よしずで覆ったり、散水したりして設置環境を整備していきました」。...

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