〜企業の節電対策と効果〜

板金サプライヤーが実践できる効果的な省エネ対策
高効率コンプレッサ、インバータ制御の導入などで年間100万円以上の節電が可能



再稼働ができない場合に想定される全国の原発の認可出力推移/電力会社各社の資料より作成再稼働ができない場合に想定される全国の原発の認可出力推移/電力会社各社の資料より作成
3月11日に発生した東日本大震災と原発事故。その後の相次ぐ原発稼働停止により、日本全土で電力不足が発生するとみられている。
6月以降、東京電力と東北電力管内で500kW以上の大口需要家は、前年ピーク実績の15%カットを実施することが決まり、対象地域内では9月半ばまで企業・個人が省電力の努力を迫られた。一応、夏場の電力逼迫は避けられたが、これから訪れる厳冬期の暖房需要で再び省電力への取り組みが求められようとしている。
また、このままいけば、国内54基の原発が春には全面的に停止する。そうなれば代替エネルギーとして石油、天然ガスを利用する火力発電への依存が高まり、燃料費だけでも3兆円増額となるとの試算もあり、電気料金の値上げも確実視されている。
今号では板金工場が実践できる省エネ対策と効果について取り上げる。

エネルギーショックの影響
パンチ・レーザ複合マシンACIES。パンチング加工中にレーザ発振器の待機電力を低減する省エネモードを実装している(MF-Tokyo 2011より)パンチ・レーザ複合マシンACIES。パンチング加工中にレーザ発振器の待機電力を低減する省エネモードを実装している(MF-Tokyo 2011より)
東日本大震災と原発事故で発生したエネルギーショック。今夏、東京電力・東北電力管内で発生した電力不足は、企業・家庭の節電努力で乗り越えることができたが、その後の相次ぐ原発の稼働停止で、現在は国内に54基ある原発のうち44基が稼働停止中(2011年10月8日時点)。稼働中の原発は10基のみとなっている。このまま再稼働がままならなければ、2012年5月には54基すべてが停止することになる(グラフ)。
これにより、東京電力・東北電力管内だけでなく、全国規模で電力不足が発生。今冬・来夏はいっそう厳しい節電対策が求められるようになるとみられている。
国内の総発電量の約30%をまかなっていた原発による電力確保が難しくなったことで、電力会社各社は休眠中の火力発電所の再稼働や、企業の自家発電の比率を高めることで不足分を補おうとしている。しかし、燃料として用いられる石油や液化天然ガスといった燃料費の高騰により、電気料金の値上げは避けられない。
日本の産業界は、急激な円高と株安、世界的に見ても高額な法人税、契約社員の雇用条件をはじめとした労働条件の厳しさ、さらには世界的に進む貿易自由化(FTA・EPA・TPP)への対応の遅れ、そして電力不足など「6重苦」といわれる課題を背負うこととなる。
サプライヤーにとっても、産業空洞化とグローバルコストへの対応に加えて、電気料金の上昇というコストアップ要因にも対応しなければならない状況が発生している。...

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