〜SHEET NOW〜

3次元データを活用して得意先とのコンカレントエンジニアリングを実践
加工データ、SheetWorks、WILLのデータをSDDサポートサービスでバックアップ

関前工業 株式会社



工作機械カバーの仕事がメイン
代表取締役社長 生井暢彦(なまいのぶひこ)氏代表取締役社長 生井暢彦なまいのぶひこ
同社は元々、配電・制御盤関連の盤筐体の仕事を主に受注していたが、現在は工作機械カバーや搬送装置などをメインに手がけている。
得意先は30社以上。このうち主要3〜4社で売上のほとんどを占める。中でも大手工作機械メーカーから受注する工作機械カバー関連の比重が高い。以前は部品単位で受注していたが、現在ではアセンブリーのニーズにも対応。3次元ソリッド板金CADSheetWorksを活用した工作機械カバーの板金設計から、ブランク、曲げ、溶接・組立まで行い、さらには得意先の組立ラインに直行して即座に組立に着手できる荷姿で納品する取り組みも行っている。
本社工場(立川市)のほかに、ブランク加工に特化した日の出工場(西多摩郡)を2008年に開設。現在は、本社工場でプログラム作成を行い、日の出工場は本社工場のASIS100PCLサーバー(SDD)にVPN接続して加工データを呼び出し、ブランク加工を行う。その後は、加工済のブランク材を本社工場へと移送し、曲げ加工、溶接まで行う。その後は八王子物流センターでサブアッシー後、所定のユニット荷姿にまとめて出荷している。

3次元データをフル活用し、得意先とのコンカレントエンジニアリングを実践
vFactoryのデジタル稼働日報による稼働状況グラフなどが、改善課題の抽出に貢献vFactoryのデジタル稼働日報による稼働状況グラフなどが、改善課題の抽出に貢献
メインの得意先である工作機械メーカーからの受注情報はすべてEDI経由で、生産管理システムWILL受注・出荷モジュール+Mに直接登録される。
図面情報はPDFで受け取ることが多く、2次元データ(DXF)はほとんどない。ただし、メインの工作機械メーカーの場合、新規品は100%、3次元ソリッドモデルのデータが提供される。外形モデルからの板金設計は同社に一任されており、同社は3次元ソリッド板金CADSheetWorksで3次元モデルを開き、製造性を確認しながらバラシ・展開を行っていく。板金設計後は、得意先に3次元データをメールで送り、承認を得るという提案型のワークフローが、同社と得意先との申し合わせのもと、確立されている。
今年9月に代表取締役社長に就任したばかりの生井暢彦なまいのぶひこ社長は「当社にとって3次元データは、単なる生産のための元データという位置付けではありません。お客さまと共通のプラットフォームを構築していることで、3次元CAD(データ)は提案や営業のための貴重なコミュニケーションツールとなっています」と語っている。

パンチ・レーザ複合マシンEML-3015NTはブランク工程の主力。自動倉庫MARS(10段6列)と連携 し、自動化にも対応するパンチ・レーザ複合マシンEML-3015NTはブランク工程の主力。自動倉庫MARS(10段6列)と連携 し、自動化にも対応する
「現在の提案方法は、当社で板金設計を行った後の3次元モデルをメールで設計担当者に送り、電話でやりとりしながら打ち合わせをする、というものです。今のところ画面共有はできていませんが、今後は3次元モデルをWeb会議で活用する必要も出てくるのではないかと思います。複数の担当者と画面共有して、同じ3次元モデルを確認し合いながらWeb会議ができれば、開発の時間が圧縮され、試作までのリードタイムも短縮できます」。
「お客さまの設計部門は、他社に比べて格段に丁寧に設計してくれていますから、当社として提案できることはそれほど多くありません。当社の本来の領域である板金サプライヤーとしての板金設計―例えば溶接部分が増えないように意識して分断位置を考えるといった、製造視点からみた合理的なつくり方を提案する、というものです」。
「お客さまも、板金設計は現場のノウハウをもっているサプライヤーの意見を積極的に採り入れてくださいます。お客さまの同業サプライヤーは当社を含め8社ほどですが、各社それぞれ独自のノウハウをもっていて、モノづくりのアプローチの仕方も少しずつちがいます。しかし、様々な加工技術の勉強会や品質交流会、3次元化へのキックオフなどの企画を通じ、製造プロセスの標準化を進めていますので、各社の仕上がりに大きな差はないようです。お客さまはその点もよく理解されていて、サプライヤー固有の技術をいかんなく発揮できるよう、環境を整え、促してくれます。そのおかげで、お客さまの設計者が製造の担当者と連携を密にしながら製品をつくり込んでいく“コンカレントエンジニアリング”が、ある程度まで実践できていると感じます」。...

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