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単年度で大規模設備投資を断行し、ネットワークをフル活用
海外進出も視野――高齢化社会へ向けて、 自社製福祉機器を国内外へ展開

シンテックス株式会社



自社ブランド製品の売上比率が40%を占める
代表取締役 八木澤穣(みのる)氏代表取締役 八木澤みのる
2009年に2代目社長に就任した八木澤みのる社長は「2025年には4人に1人が高齢者という超高齢社会を迎えようとしている昨今、加齢とともに生じてくる物理的障壁や生活負荷からの解放は、これからの高齢社会において最も大切な要素です」と語っている。
同社は1971年の創業当初から、大手重電メーカー向けに開閉装置・変圧器といった送変電機器などの板金部品を製作。その後、同じグループの大手医用機器メーカー向けにX線CTスキャナ、超音波診断装置、MRIといった医用機器関連を手がけるようになり、現在の主力となっている。現在の得意先社数は20社ほど。そのほとんどが現在の主要得意先である大手医用機器メーカーと、そのグループ会社ならびに1次サプライヤーとなっている。
大手メーカー向けに板金部材の製造を手がける一方で、同社は自社ブランド製品である椅子式階段昇降機「タスカル」(特許・実用新案取得)、段差解消機「タスカルりふと」といった福祉機器の開発・設計・製造を行うメーカーとしての顔も持つ。1995年に研究開発部門「テクノセンター」を発足して自社ブランド製品の開発に着手し、1996年に初代「タスカル」を発表。その後も製品の改良を続けるとともに、曲線型、屋外直線型、バッテリー駆動方式、屋内・屋外型をラインナップに加え、代理店網を拡充して販売を強化してきた。

vFactoryが集計したネットワーク対応マシンの稼働実績(月次レポート)を各マシン脇に掲示しているvFactoryが集計したネットワーク対応マシンの稼働実績(月次レポート)を各マシン脇に掲示している
「2000年に施行された介護保険法が2002年に改正された際、レンタル品の項目が追加され、段差解消機も対象製品として登録されました。それ以来、当社の製品もレンタル会社への販売の割合が高まっています。ビルや公共施設にはエレベータが設置されているため、椅子式階段昇降機は個人住宅での用途が90%。椅子式階段昇降機と段差解消機は建築基準法のエレベータと同じカテゴリに含まれるため、厳しい品質基準が求められ、国土交通大臣の認可が必要になります」(八木澤社長)。
自社ブランド製品の売上比率は約40%。後発ではあるものの、15年間の総出荷台数は8,500台にのぼり、国内シェア20%前後を占めるまでに成長した。
「今後、高齢化がいっそう進展していきますから、需要はさらに伸びていくと考えています」(八木澤社長)。

2005年度後半に大規模設備投資を断行
自社製生産管理システムが発行する作業指示書のバーコードを読み込み、進捗管理を行う自社製生産管理システムが発行する作業指示書のバーコードを読み込み、進捗管理を行う
同社は2005年度後半(2005年末〜2006年初頭)、大規模な設備の入れ替えを行っている。
ブランク工程では、パンチングマシンEMZ-3510NTをPDC(金型自動交換装置)付き、マニプレータ付きで導入し、自動倉庫MARS(12段×4列)と連動させ、24時間無人稼働を実現させた。さらに、パンチ・レーザ複合マシンEML-3510NTを供給棚(AS-48RM)・積載棚(ULS-48RM)付きで導入した。
曲げ工程にはネットワーク対応型ベンディングマシンHDSシリーズを、HDS-1303NT/8025NT、HDS-5020NT×3台と計5台、一挙に導入し、併せて曲げ加工データ作成全自動CAMDr.ABE_Bendを導入。ブランク・曲げ工程に関しては、可能な限りの自動化・ネットワーク化を行った。
当時は専務として陣頭指揮を執っていた八木澤社長は「大手医用機器メーカー関連からの受注は、95%がリピート品。自社ブランド製品も基本的には規格品で、リピート生産が基本です。そのため、利用価値の高い過去の加工データを蓄積し、加工データの2度づくりを防止すること、材料段取り・金型段取り・曲げ加工データの作成といった内段取り工数を削減、外段取り化することで、コストを削減することが大きなテーマでした」と語っている。...

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