〜Industrial Trend〜

「MF-Tokyo 2011」で聞いた 板金業界の“今”
2極化とグローバル化が課題


「MF-Tokyo 2011」で聞く“今”
8月に東京で開催された「MF-Tokyo2011」には、前回を約10%上回る3万人弱の来場者があった。4日間の会期で、これだけの来場者があったということは、東日本震災の影響で設備投資を見送っていた産業界でも、下期以降へ向けて設備投資意欲が出てきたとみる見方もある。
しかしその後、米国債の格付けが下がったことを受けて米国経済の先行きへの警戒感が高まるとともに、1ドル76円台の円高が続くなど、日本経済を取り巻く環境は一段と厳しさを増している。
そんな中、会場で出会った板金業界関係者から聞くことができた、板金業界を取り巻く“今”の状況をまとめた。そこから窺えたのは、業界の2極化がさらに進行している様子と、適地適産に対応してグローバル化を進める得意先への対応に苦慮する経営者の姿であった。

進歩する加工技術に注目
ファイバーレーザ加工機FOL-3015AJを出展(アマダ)。注目度が高く人垣がでる場面もあったファイバーレーザ加工機FOL-3015AJを出展(アマダ)。注目度が高く人垣がでる場面もあった
来場していた業界関係者の方々に来場目的を聞くと、その多くが「板金機械メーカーが一堂に集まる展示会で、各社の出展機や技術イノベーションを見たかった」、「今回3社のメーカーからファイバーレーザ加工機が出展されると聞いて、見学に来た」と答えた。通常では一堂に集まることのない異なるメーカーの加工機や加工技術を比較検討したいという気持ちが、来場の主要な目的であったようだ。
公共展なのだから当たり前とも言えるが、国内では板金機械に絞り込んだ公共展があまり開催されていないこともあって、来場者の関心もそんなところにあったのかもしれない。

最新のトレンドは海外の専門展で
パンチ・レーザ複合マシンEML のテイクアウトローダーパンチ・レーザ複合マシンEML のテイクアウトローダー
毎年海外で開催される板金専門見本市を見学している業界関係者からは「公共展といっても規模は小さく、海外メーカーの出展も少なめです。板金機械の国際見本市であるEuroBLECHなどとは比較になりません。最新の加工機、加工技術を見るならEuroBLECHへ出かけたほうが有意義です。大半の加工機、加工技術はすでに海外で発表されているもので、大きな収穫はありませんでした」(愛知県S社長)と、出展者や出展されている加工機が少なく、最新の加工機や技術がみられないことを指摘する声もあった。
その一方で、毎回EuroBLECHを視察している関係者は「昨年のEuroBLECHで見かけた加工機が大半ですが、新製品も何点か見られました。また、加工技術が長足の進歩を遂げており、同じ出展機でも見るべき価値がありました。特にファイバーレーザは毎分100mというスピードで加工していた加工機もあり、収穫はありました。ただ、出展者もこうした展示会ではチャンピオンデータで加工するので、実際に当社の材料で製品を加工した時に、期待どおりの加工能力を発揮できるかは分かりません。まずは検討材料として、出展各社の加工サンプルを持ち帰って社員に見せたいと思います」(鹿児島F社長)と出展内容に一定の評価をする声もあった。...

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