〜自動化が進む中国の板金事情〜

平均ロット20台、盤筐体の多品種少量生産に対応
「稼働率を向上するためには自動化が避けられない」

上海维益埃电器成套 有限公司



2003年に創業
方建牢 総経理方建牢 総経理
2010年11月、経済開発区内の2万2,000m2の土地に、総額1,800万元(2億2,500万円、1元=12.5円換算)を投資して完成した延床面積1万8,000m2の工場事務所。ガラスで覆われた明るい総経理室で、方建牢総経理に話を聞いた。
同社は2003年に方総経理ともう1人の共同経営者の手により、現工場から車で15分程の場所で創業した。板金関連の企業で生産管理や技術管理の仕事に精通していた方総経理は創業に際して、所有していた持家を売却して出資金に当て、長年の友人たちからも出資を募った。当初は共同経営者の板金工場の軒下を借りてスタートした。その後協議を経て、現在、共同経営者の1人は別の板金工場を経営している。
「1974年生まれで当時29歳になった私は、将来の生活設計を考えなければならない、生き方を変えてみたい。自分がやりたいことをやるには自分で起業するしかないと考えました」(方総経理)。
当時から得意先は欧米系70%、日系10%と、80%以上が外資系企業から受注する輸出向けの盤筐体関係だった。英会話が堪能な方総経理は自ら得意先開拓に出向き、さまざまな提案を行って事業を拡大してきた。

アマダマシンを主体に設備を増強
vFactoryが集計するデジタル稼働日報で加工設備の稼働状況を把握するvFactoryが集計するデジタル稼働日報で加工設備の稼働状況を把握する
「創業当時は共同出資者の工場の一部を借りていました。当時の設備は金方園などの中国メーカー製が中心でした。しかし、私が以前勤めていた会社の設備がアマダ製で、アマダマシンの優れた性能を知っていたので、当社もいつかはアマダマシンを使っていきたいと考えていました」。
その意志どおり、パンチングマシンARIES-245、ベンディングマシンRG-1003、レーザマシンFO-3015、パンチングマシンEM-2510NT(58/45 ステーション)2台、ベンディングマシンHDS-2204NT、FBDV-1025NT、レーザマシンFO-4020NT+LST-4020FO、2次元CAD/CAM AP100×2台、稼働サポートシステムvFactoryなどを次々と導入。昨年11月に完成した新工場には、EM-2510NTなどの設備を移設した。

昨年11月に新工場を竣工
レーザマシンFO-4020NT+LST-4020FOとNCコントローラAMNC/PCレーザマシンFO-4020NT+LST-4020FOとNCコントローラAMNC/PC
「2010年11月に新工場が完成、パートナーチェンジで私の妻が新たに董事長になりました。新工場の建設費1,800万元(2億2,500万円)を含めた当社の総資本は7,500万元(9億3,750万円)ですが、そのうち4,500万元(5億6,250万円)は銀行からの借入金です」。
同社の2010年の売上は3,500万元(4億3,750万円)、粗利は20〜30%、社員の数は約100名となっている。社員1人あたりの売上(パーヘッド)は年間35万元(約440万円)で、中国の業界平均で見れば優良板金工場である。中長期計画では、2011年にはこれを40万元(500万円)に改善し、2012年には50万元(625万円)を目指している。
方総経理は、かつて日本の工場を見学した経験があり、見習うべきものはしっかりと導入していこうという積極性を備えている。
「日本の板金加工業界は細分化されていて、専門分野に特化することができます。しかし、中国ではサポートインダストリーが十分ではないために、自社内で処理しなければいけない工程がたくさんあります。そのため、自動化への取り組みが遅れています。また、作業者に専門家が少ない。日本ではパーヘッド売上が月額100〜120万円程度と聞いています。当社もできるだけ早い時期に日本の板金工場並みのパーヘッドを実現したい。中国の板金業界でも人件費が高騰しているので、自動化・省人化を進めなければ付加価値の改善は望めません。得意先を拡大して仕事の付加価値を上げていく努力と並行して、生産合理化を考えなければいけません」。...

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