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5年間で20%のコスト削減を目指す
生産管理システム APC21の活用でJIT対応を強固に

新潟交通機械 株式会社



鉄道車両メーカーからの受注が98%を占める
五十嵐陽一 工場長五十嵐陽一 工場長
同社は、JR東日本のグループ会社であり車両製造、機械設備メンテナンスを主な業務としているが、車両系統では東日本旅客鉄道叶V津車両製作所(以下、新津車両製作所)のメインサプライヤー。同社江南工場では、新津車両製作所にて1日1両ペースで製造されているステンレス車両のドア、天井部などの各種ユニットや鉄道車両部材の製造、在来車両およびSLの保守などを主業務としている。そのほか、同社新津営業所では新津車両製作所の車両組立作業を請負で受注していて、売上の98%が新津車両製作所からの受注となっている。
江南工場の納品形態は2パターンあり、1両単位もしくは1編成単位での納品となっている。現在、新津車両製作所の主力生産車両となっている東北縦貫線向けの車両では、1編成15両のうち、2階建て車両のグリーン車を除く一般車両13両を生産。計画では30編成が生産される予定で、生産予定車両台数は390両、1日1両生産のペースで、ほぼ1年半先まで生産が予定されている。
新津車両製作所からはJITでの納品を求められているため、材料手配から工程間の仕掛品に至るまで、得意先との連携を密にし、納品精度を高めている。
江南工場工場長の五十嵐陽一氏は「当社でJIT生産を行うのは、基本的にサイズが大きい製品になり、工場内もJIT生産を前提としたレイアウトとなっています。仕掛品の保管日数を含め、今後も今まで以上にリードタイムを短縮し、納期の精度を高めていくつもりです」と語っている。

江南工場の業容
生産管理システム APC21のハンディ端末が1人ひとりに行き渡るよう30台導入(充電中)生産管理システム APC21のハンディ端末が1人ひとりに行き渡るよう30台導入(充電中)
同工場は、鉄道車両の部品製作をメインに手掛け、車両の連結幌に関しては他の車両メーカーから生産を一任されている。
1編成10両で納品していた京葉線向けの車両を例に挙げると、品種は約900種、総数1万3,800点の部材を製造する。扱う材料は、SSとSUS304が主で、比率はほぼ50%ずつ。板厚は、SSが0.8〜9mm、SUS304が1.0〜4.5mm。車両の床下機器にはSS、構体関係はSUS304を主に使用する。
江南工場で生産する製品は、室内天井取付部品、ヒーター反射板、主回路ダクトなど様々。
「当社の製品は多岐に渡ります。民営鉄道向けに2〜3両という特急・割込みの受注案件もたびたびあります。また、当社で扱う製品の中には、長さ20mに及ぶ車両の屋根部品もあり、この製品は、3つに分割して生産し、納品しています。受注の際は紙の組立図で送られてくるので、当社設計部にて、CAD上でバラシをかけ、DXFデータに変換した後、2次元CAD/CAM AP100で展開を行います」(五十嵐工場長)。

東北縦貫線向けの車両製造計画で生産計画が1年以上先まで埋まる
APC21を活用し、担当者別の工程山積み・山崩し状況を確認APC21を活用し、担当者別の工程山積み・山崩し状況を確認
鉄道業界は1990年代前半まで、人口の増加にともなって利用者が増え、売上高は右肩上がりで伸びてきた。しかし、人口が横ばいとなった近年では、鉄道事業の売上高は頭打ちと言われている。
一方、東北縦貫線向けの車両製造計画(以下、東北縦貫)のように大規模な計画も始動しており、同社のように関わりが深い企業は多忙となっている。
東北縦貫とは、東北新幹線の建設にともなって分断された在来線上野〜東京間の線路を再度敷設することで、上野駅を起点とする東北本線(宇都宮線)・高崎線・常磐線(常磐快速線)の3線を東京駅まで乗り入れさせ、さらに東海道本線への直通運転を行う路線の計画のこと。3線方面から東海道線東京・品川・川崎・横浜方面への直通が可能となることで所要時間が短縮され、山手線や京浜東北線の混雑率が大幅に緩和されるなどの利点があり、利便性が大きく向上すると期待されている。2008年5月30日から工事が始まり、2013年度の完成を予定している。...

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