〜東海発、元気印企業の“仕事術”〜

東海地区の景気は持ち直しつつある
板金業界をリードする工作機械カバーの需要が増大



東日本大震災の影響
中部地区の金属工作機械 受注高の推移( 経済産業省 中部経済産業局「統計データ」より)中部地区の金属工作機械受注高の推移(経済産業省中部経済産業局「統計データ」より)
3月11日に発生した東日本大震災は、東北や北関東の太平洋岸を中心に未曾有の被害を与えた。多くの人命が失われ、家屋や工場などの倒壊や津波による流出など、被災地域の広さと被災した建物の多さから、千年に一度の大震災といわれている。
その一方、地震や津波によって日本経済を支えるサポートインダストリーにも多くの被害が発生した。特に素材関連やハイテク部品を供給するサプライヤー工場が被災したことで、基幹部品の調達が途絶え、サプライチェーンが寸断され、自動車産業をはじめ、日本を代表する産業が操業停止や減産に追いこまれた。
その結果、被災地から遠く離れた東海地区でも、自動車産業を中心に5月連休前までは操業度が半分以下にまで落ち込み、急激な生産調整で資金繰りが危うくなり、企業倒産に追い込まれる中小製造業者も見受けられた。東海地区はもともと自動車、工作機械、繊維機械、航空機産業などハイテク産業が活発で、工業出荷額では京浜地区に次ぐ生産規模の工業集積地である。それだけに、突然の震災とサプライチェーン寸断による影響は大きかった。6月に入ってからは滞っていた部材の供給も改善が進み、自動車の生産も徐々に回復してきている。

東海3県の金融経済動向
工作機械メーカーの組立ライン工作機械メーカーの組立ライン
日本銀行名古屋支店が6月に発表した東海3県の金融経済動向調査によると、東海3県の景気は、なお厳しい状況にあるが、持ち直しつつあるという認識を示している。
生産や輸出は大幅に減少しているものの、供給面での制約が徐々に和らいでいることから、足もとでは持ち直しつつある。設備投資は緩やかではあるが上向き傾向がみられ、住宅投資も低水準ながら一部に持ち直しの動きがみられる。
個人消費は弱含んでいる他、公共投資は減少基調にある。こうした中、雇用・所得情勢は東日本大震災以降の生産の減少などを受けて、弱めの動きとなっているとみられる。なお、消費者物価(生鮮食品を除く)は前年比プラスに転じている。...

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