〜SHEET NOW〜

精密板金加工の分野で塗装・シルク印刷まで一括対応
品質へのこだわりとデジタル技術との融合で勝ち残りを目指す

株式会社スズミ



震災の影響で一時停滞も秋口以降の回復を見込む
代表取締役社長の鈴木雄一氏代表取締役社長の鈴木雄一氏
3月11日に発生した東日本大震災では、同社の白河工場も大きな被害を受けた。福島県中部の南端に位置する西白河郡の震度は6強。加工設備はアンカーを打っていた機械も含めて移動してしまい、材料棚は崩れ、事務所のパソコンは転倒、建屋もダメージを受けた。
鈴木雄一社長は「地震発生後はただちに従業員を自宅へ帰し、週明けの月曜日(3月14日)は全員が出社して工場内を片付けました。その後はガソリン不足が深刻化していたので、最低限の人数で現場の片付けと、建屋やライフラインの修理を行う各業者の対応を行いました。本震から11日後の3月22日からはようやく稼働を再開できましたが、パンチングマシンは復旧したものの、棚・マニプレータ・PDC(金型自動交換装置)といった周辺装置の修理は後回しになったため、単体機としてしか動かせず、3日間は交代制で24時間稼働し、注残の仕事を間に合わせました。仕掛り品が致命的なダメージを負うケースがなかったこと、そして何より、社員の中から人的被害が出なかったことは不幸中の幸いでした」と振り返る。
震災後の仕事量は、やはり減少しているという。
「お客さまも様子見という感じです。部品が入ってこないので組立ができず、一時的に生産量は落ちていますが、生産スケジュールに変更はないと聞いていますから、秋口までには震災前の水準に戻ると予想しています」と鈴木社長は前向きの姿勢を崩さない。

多品種少量生産と塗装・シルク印刷の一括対応で勝ち残りを目指す
2010年、「このマシンなら少人数でも高生産性を実現できる」(鈴木社長)と考えて導入したLC-2012C1NT(マニプレータ付き)2010年、「このマシンなら少人数でも高生産性を実現できる」(鈴木社長)と考えて導入したLC-2012C1NT(マニプレータ付き)
「当社の狙いは国内に残る多品種少量製品の市場」と鈴木雄一社長は明言している。
「大手メーカーは生産拠点を海外へシフトする動きが顕著ですが、ロット10個以下の多品種少量製品は国内に残るのが自然です。私がイメージしているのは、開発が3〜5人しかいないような中小メーカーからの仕事です。もちろん大手のお客さまとの取引は会社を成長させてくれますし、ロットの大きな量産品の仕事も合間合間には入れていきたいと考えています。しかし、量産に特化した競合他社とコスト競争をしても勝ち目がないのは明らかなので、多品種少量生産品の受注に注力していきたいと考えています」。
横浜本社工場(以下、横浜工場)と白河工場、2つの生産拠点をもつ同社の得意先は両拠点を合わせて100社以上。10年くらい前には50社弱だったのが、ここ5〜6年で倍増した。かつては同社もメインの得意先3社から30%程度ずつ受注する“3本柱”の体制だったが、アイテム数の増加とロットの縮小という多品種少量化の流れに対応するため新規得意先を開拓、受注の平準化を図っていった。現在は、最も仕事量が多い得意先でも売上比率は10%に満たない。...

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