〜中小製造業にも導入が始まったBCP/BCM〜

BCPで顧客を繋ぎとめる
情報(データ)のセキュリティマネジメントが重要

株式会社 国分電機



災害に対する事前対策の必要性を感じBCP を策定
代表取締役社長の国分直人氏代表取締役社長の国分直人氏
国分直人社長は、同社がBCPを策定することになった背景を次のように語っている。
「BCPを策定するきっかけになったことが2つあります。ひとつは、ある経営研究会で知り合った新潟の米菓企業の経営者から聞いた話です。この企業は、2004年の新潟県中越地震で工場が大きな被害を受けました。復旧に向けて苦労されたお話を伺い、規模の小さい当社であったら、それこそ存亡の危機であったろうと感じました」。
「もうひとつは、新型インフルエンザが流行した時に、当社の従業員も集団で感染し、欠勤者が相次いだことです。事務所や設計室はもちろん、工場も密閉された空間なので、感染が広がりやすく、工場閉鎖に陥る危険性を痛感しました。どちらの例を見ても、事前の対策が必要であると強く思い、昨年の春から本格的にBCPの策定に取り組んできました」。

工場の現場スタッフを中心に機能的なBCPを策定
東日本大震災により、茨城工場の設計室は、天井の板が剥がれ落ち、パソコン・デスクが散乱した東日本大震災により、茨城工場の設計室は、天井の板が剥がれ落ち、パソコン・デスクが散乱した
「最初は、中小企業庁のWebサイトにあるBCP文書のフォーマットを活用しました。これは必要事項を埋めていくだけで良いので、第一歩としてはよかったのですが、BCPのノウハウがない当社が独力で策定したものですから、不安もありました。そこで、もう一歩踏み込むために、東京都が行っている『東京都BCP策定支援事業』に応募し、参加することにしました。策定期間は2〜3カ月で、その間にコンサルタントと本社(東京都品川区)で打ち合わせを全5回行い、策定を進めていきました」。
「BCPを策定するようにとの指示はトップダウンで行いましたが、具体的に策定する段階では、工場の現場スタッフを中心に行いました。本社にいると気づきにくいのですが、工場スタッフからは、従業員の家族や家のことを重要視した対応を考えないと絵に描いた餅になり、実際には機能しないと言われました。そういった意見が色々と出てきて、最終的にはある程度血の通った機能的なBCPができたと思います」。...

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