〜中小製造業にも導入が始まったBCP/BCM〜

BCP、それは企業が危機を生き延びるための処方箋

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「アクティブホームページ」の画面。得意先からの受注物件に関する問い合わせを専用ホームページ上でやりとりすることができる「アクティブホームページ」の画面。得意先からの受注物件に関する問い合わせを専用ホームページ上でやりとりすることができる
未曾有の被害をもたらした東日本大震災。千年に一度とも言われる巨大地震と巨大津波、その後の原発事故を目の当たりにして、多くの企業が緊急時の対応を真剣に考えるようになりました。そこで注目されているキーワードが「BCP」です。本稿では、企業がいますぐできるBCP対策について紹介します。

突然の地震や火災、インフルエンザ・パンデミック! そのとき、あなたの会社は生き残れますか?
今回の東日本大震災は、多くの企業に壊滅的な被害をもたらしました。地震・津波による直接的な被害だけでなく、サプライチェーンの寸断により、部品が届かず組立ができなくなったり受注が止まったり、と間接的な被害も広がっています。まさに“緊急事態”です。こうした緊急事態が発生したとき、どのように行動するかを定めたものが「BCP」です。
BCPは企業の命運を左右します。たとえば、ある自動車部品のプレスメーカーが地震で被害を受けたとしましょう。工場のプレス機が転倒して使えなくなり、コンピュータも故障して図面データが失われ、通信手段も絶たれ、数日間は従業員の安否も確認できず、原材料の仕入元や納品先とも連絡がとれなくなったとしましょう。
「SDDサポートサービス」の概念図。サーバーの2重化や生産情報の データセンターへのバックアップが自動的に行われる「SDDサポートサービス」の概念図。サーバーの2重化や生産情報の データセンターへのバックアップが自動的に行われる
このような状態から復旧することは容易ではありません。生産設備の復旧には数カ月くらいはかかるかもしれません。しかし、納品先は待ってはくれません。プレス機がなく、図面データも失われたとわかれば、納品は不可能と判断され、発注を他の会社に切り替えられる可能性が高いでしょう。そうなったら、数カ月後に新しいプレス機を導入しても受注は元に戻りません。やむなく会社の規模を縮小せざるをえなくなり、やがては……。考えたくはありませんが、けっしてありえない話ではないのです。
しかし、BCPを導入していれば、こうした危機を乗り切れる可能性が高まります。緊急時における従業員や得意先との連絡手段の確保、原材料の仕入元が被災した場合の代替材料の調達、図面データのバックアップと復旧、プレス機が使えないケースを想定した協力会社との連携など、あらかじめ決めた手続きにしたがって行動することで、自動車部品製造という中核事業を継続し、受注をつなぎ止めて、短期間で元の状態に復帰することが可能になるのです。
では、BCPを導入するにはどうすれば良いのでしょうか。まず参考にしたいのが、中小企業庁から出されている「中小企業BCP策定運用指針」(http://www.chusho.meti.go.jp/bcp/)です。
これはBCPの普及を目的に中小企業庁が作成したもので、いわば中小企業のBCPバイブルです。まずは、その存在を覚え、できれば目を通すことをおすすめします。さらに、今すぐできる対策もあります。次に、その具体的な対策を見ていきましょう。...

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