〜中小製造業にも導入が始まったBCP/BCM〜

会社と従業員を守るため、BCMで事業継続を図る
災害発生時、BCP策定の有無で復旧時期に大きな差



BCP/BCMとは
表1 BCPを導入している企業と導入していない企業との差(中小企業庁「中小企業BCPガイド」より)表1 BCPを導入している企業と導入していない企業との差(中小企業庁「中小企業BCPガイド」より)
東日本大震災により、日本経済を支える中小製造企業も大きな被害を受けた。被災からの迅速な復旧の可否は、会社の存続に大きく関わる。そのため震災後は、企業のリスクマネジメント意識が高まり、BCP(事業継続計画)、BCM(事業継続マネジメント)への関心が急激に高まっている。
中小企業庁によるとBCPとは、企業が自然災害・大火災・テロ攻撃などの大規模な災害や不測の事態に遭遇した場合に、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続、あるいは早期復旧を可能とするための事業計画。BCMとは、BCPの策定から運用、見直しまでを含め、非常時にも計画どおり行動できる体制を日ごろから備えておくためのマネジメント手法と定義されている。
東京都では中小企業のBCP策定を支援するため、コンサルタント料が無料の「東京都BCP策定支援事業」に取り組んでいる。東日本大震災後は希望者が急増し、2011年度の対象は中小企業70社、中小企業団体等5団体に拡大され、3期に分けて実施される。2010年度は35社が選定され、そのうちの2社が板金加工企業だった。
世界では、BCPを包含するBCMの国際認証規格として「BS25999-2(事業継続マネジメント─仕様)」が広く利用されている。そのIS版(国際規格版)は、「ISO22301(事業継続マネジメント─要求事項)」に相当し、2012年4月ごろ、正式にIS化される予定となっている。BCPが国際標準化すると「グローバルサプライチェーンに入るための必須条件」となることも考えられる。

災害発生時、企業の社会的責任
大災害や緊急事態に遭遇した時、経営者が採るべき判断は難しい。例えば、従業員の安全、得意先への供給責任、雇用の確保などは企業が負うべき社会的責任としての重要案件だが、紋切り型の対応では対処しきれない。災害リスクの軽減のためには、自社に適したBCPの策定が重要となってくる。
また、仮に発注元への供給責任を果たせず、1カ月も納品ができなかったら、発注先を変更されてしまう。今回の特集で取材した企業の経営者は「BCPの目的は顧客をつなぎとめるため」と断言し、転注されてしまうリスクへの対策を最重要課題として挙げていた。...

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