〜活況を取り戻した工作機械業界〜
貿易立国である日本の国際競争力の源泉は製造業である。その製造業の基幹となる極めて重要な生産財が工作機械であり、日本の工作機械産業は、ユーザーである様々な製造業とともに成長してきた。 近年、世界の製造業において生産拠点のグローバル展開が加速していることから、工作機械の市場は国際的に拡大し、外需比率は7割にまで高まっている。このような状況において、ユーザーの生産形態が進出先の国・地域によって異なることから、工作機械に対するニーズも多様化している。こうした大きな変化の流れの中にある日本の工作機械産業の動向について、本稿では需給動向と技術動向の両面から触れてみたい。 I 工作機械の需給動向 2010年の工作機械業界は、2009年から引き続き、リーマンショック後の回復ないし成長期にあったと言えるであろう。 サブプライムローン問題に端を発するリーマンショックにより引き起こされた世界同時不況の影響を受け、受注額は2008年9月の1,135億円から、たった4カ月後の2009年1月には190億円へと急激に落ち込んだ。その後、緩やかながらも回復基調が続き、同年12月には609億円とボトムの3倍強にまで回復したものの、2009年受注総額は累計で4,118億円と2年連続のマイナス(前年比−68.4%)、30年前の受注レベルにとどまった。このように受注総額は低調ながらも着実な回復を遂げた2009年に引き続き、2010年も受注額は伸長を続け、受注総額は1兆円に迫る9,786億円(前年比+137.6%)にまで達し、3年ぶりに前年比プラスに転じた(グラフ1)。... つづきは本誌2011年6月号でご購読下さい。 |