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「社員が主役」の会社を体現、心をこめたモノづくり
3次元CADを駆使したモノづくり設計の提案で得意先との関係を強化

南海金属 株式会社



「社員が主役の会社です」
代表取締役社長の柳 善朗氏代表取締役社長の柳 善朗氏
「みんなにありがとう」のテロップから始まる同社のコンセプトムービー。情緒的な音楽に乗せ、「積み上げた技術の上に これからの夢を乗せて」「これでいい……から、もっといいへ」「心を製品に」「物に命を吹き込む」などのテロップがゆっくりと流れ、「一人ひとりの個性と その可能性を生かして 自立の精神を持った 社員が主役の会社です」で幕を閉じる。この、製造業としては極めてユニークな文学的な味わいのあるコンセプトムービーを制作したのは、同社の社員。「社員が主役の会社」を如実に現わすとともに、同社のコンセプトを的確に表現している。

会社は人間形成の場
レーザマシンFO-3015NT+AS-3015FO。棚付きで生産性が大幅に向上した。右奥には社員が掲げた“世界一”の標語が見えるレーザマシンFO-3015NT+AS-3015FO。棚付きで生産性が大幅に向上した。右奥には社員が掲げた“世界一”の標語が見える
同社の代表取締役を務める柳 善朗氏は、1943年生まれの68歳。モノづくりに従事する父親のもと、2歳の時からネジとナットをおもちゃ代わりにして育ったという。家の仕事を継ぐのを嫌い、画家を志して6年間、世界各地を放浪した。柳社長は当時を振り返り「あの6年間は、私にとって他では得がたい学びの場でした。絵描きとして生活の目処が立たず、帰郷したのち、26歳で当社に入社。1971年に社長に就任しました」と懐かしげに語っている。
「入社した当日から社員の覇気のなさに辟易した」という柳社長は、「会社を学校にしてやろう」と考えた。それが「南海学園」である。
「『南海学園』の看板を掲げてはいるものの、特別なカリキュラムを組んでいるわけではありません。モノづくりのためのヒトづくりというよりも、会社は人間形成の場であり、学校そのもの、という考え方です。コンセプトは“自立心”と“相互扶助”(助け合い)。これを社員の生き方に反映させることを目指しています」。
毎日、朝礼では社長以下、社員もそれぞれが自らの心意気を発表し、2010年は社員が自分の志や家族紹介のムービーを制作。各々のムービーは、同社のWeb サイトに順次、公開されていく予定だという。
「教育の原点は、高い目標、志を立てることです。そこで、社員それぞれが自分の現場に“世界一”の標語を掲げました。世界一というのは、自分にしかできない、他では誰もできないことをやること、そして、それをカタチにしてお客さまに差し出すことです」。
昨年12月に本社工場と真岡工場にWeb カメラを13台設置。相互に生産状況を把握することができる昨年12月に本社工場と真岡工場にWeb カメラを13台設置。相互に生産状況を把握することができる
「日本に古くから伝わる、あらゆるモノの中に神が宿ると考えるアニミズムの思想と、そこから生まれたと思われる“神業”という言葉。古くさいと思われるかもしれませんが、私はこれを大切にしたい。モノづくりに携わるからには神業を目指す。そのために志を高く持つ。高すぎる目標かもしれませんが、社員たちには、それくらいの気概を持ってほしいと考えています」。
柳社長のこういった言葉の端々に、冒頭に挙げたムービーのテロップ「心を製品に」「物に命を吹き込む」の原点がうかがえる。...

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