〜Industrial Trend〜

拡大する世界の工作機械市場
世界1位のけん引力を持つ中国



2010年度の工作機械生産額 世界全体で21%増
拡大する世界の工作機械市場
米国の調査会社Gardner Publications社は、世界主要28カ国の2010年の工作機械生産額・輸出額・輸入額・消費額の統計を発表した。この発表では、輸出額以外の3部門で中国が昨年に引き続き世界1位となり、世界の工作機械市場をけん引する中国の存在感が、強まっていることがよく分かる結果となった。
世界主要28カ国の2010年の工作機械生産額は、663億ドル(約5.4兆円、1ドル=82円換算)。2009年は547億ドル(約4.5兆円)だったので前年比21%増となり、中国を中心に、世界の工作機械需要が回復し、確実に景気が上向いていることがうかがえる(グラフ1)。
生産額シェアの上位から見ると、1位は中国(30.1%)、2位は日本(17.9%)、3位はドイツ(14.7%)となって前年3位であった日本がドイツを抜き2位に上がった。
2010年も中国が生産額で世界1位となり、世界の生産額シェアでも30%超と、全体の1/3近くを中国が占めるまでになっている。
日本は2009年、前年比56.5%減で、1982年以来続いていた生産額世界1位の座から3位に転落したが、2010年は中国をはじめとする外需にけん引され、前年比69%増の大幅回復を遂げ、2位となった。
2009年に世界2位だったドイツは、リーマンショック後の低迷期に行った生産能力の縮小や、外注化した重要部品の調達がボトルネックとなり、2010年に大幅回復した受注量に対して、生産対応が後手に回ってしまった。そのため、2010年の工作機械生産額は前年比5%減となり、世界3位となった。ただし、2011年は、2010年の受注残と、中国をはじめとする新興国向けの受注が堅調なことから、2ケタ台の成長になると予測されている。...

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