〜移動体通信機器もコストがキーに〜

“遮断”の技術を活かし、無線中継基地シェルターへ進出
設計の標準化と加工の自動化で競争力を高め、飛躍

コスモテック株式会社



“遮断”の技術で各種特殊複合パネルを手がける
代表取締役会長の宮原勇郎氏代表取締役会長の宮原勇郎氏
「移動体通信の中継基地局関連は、それまでずっと上り調子だったのが、2010年からほぼ横ばい。そろそろ “テッペン”までいったかな、と感じています」と佐藤幸三社長は語る。
金属・木材の接着パネル加工からスタートした同社は、防音室、断熱室、クリーンルーム、電磁波シールドシェルターといった特殊複合パネル関連製品の開発・設計・製造を経て、移動体通信を含む無線中継基地シェ ルター(局舎)まで手がける。同社の最大の特長である“遮断”の技術を活かし、用途を拡げて各分野に進出し、事業を拡大している。

特許取得のジョイント工法で通信インフラ関連へ進出
SheetWorksで作成した光触媒脱臭装置の実験機の爆発図SheetWorksで作成した光触媒脱臭装置の実験機の爆発図
同社が通信系中継基地シェルターの生産を手がけるようになったのは1998年頃。鉄道の信号通信設備を手がけるメーカーからシェルターの引合いがあり、特殊複合パネルの分野で培った技術を活かして、既存製品からの改良を提案、採用された。
「改良の目玉は、当社が特許を取得している勘合材を使ったジョイント工法を採用し、リベットやビス留め箇所からの漏水を防ぐとともに、組立工期を通常の1週間程度から約2日へと大幅に短縮したこと。ジョイント部には押出材の形鋼を採用し、量産によってコストダウンにも対応しました」(佐藤社長)。

自社ブランド製品を展開
パンチングマシンEM-2510NT+ASR-510Mがブランク工程の自動化と精度向上に貢献し、後工程のパネルベンダーTBZ-3023Hとのシナジー効果を生んだパンチングマシンEM-2510NT+ASR-510Mがブランク工程の自動化と精度向上に貢献し、後工程のパネルベンダーTBZ-3023Hとのシナジー効果を生んだ
これを皮切りに、同社の業容は無線通信インフラ関係で大きく拡がりを見せる。現在では、移動体通信の中継基地シェルターだけでなく、地上波デジタル放送向けの中継基地シェルター、市町村合併に際して自治体が進める防災用無線通信設備のデジタル化に対応し、シェルターや内部に納めるラックまで手がける。
現在では、売上全体の60〜70%を通信インフラ関連事業が占め、残りの30〜40%が特殊複合パネル関連となっている。
「創業当初から、当社の目標は“メーカー”になることでした」と佐藤社長が話すように、同社はメーカー志向が強い。すでに、断熱性・防水性を加味した防災用の多機能防災倉庫、中小企業向け小規模サーバールーム、自治体向けの防災用無線通信局舎といった自社ブランド製品を開発。そのほか、大手サッシメーカーにOEMで提供している組立式簡易トイレのような製品もある。
2010年には東京に営業所を新設。Webページも充実しており、積極的な販売を展開している。...

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