〜移動体通信機器もコストがキーに〜

移動体通信基地局向けの盤筐体を一貫生産
デジタル化や人件費の変動費化で独自性を発揮

株式会社マエショウ



創業会長は漁業から転身
角谷和行社長角谷和行社長
「当社は私の父である角谷すみや正行会長が1979年に創業しました」と角谷和行社長は語り始めた。
「もともとは衣浦湾で漁業を営んでいましたが、衣浦臨海工業地を造成する開発計画が進み、漁業を廃業。義理の兄がやっていた板金工場に2年間勤め、板金加工技術を習得して、自ら会社を創業しました。転業なので、職人の腕に頼ったモノづくりではなく、機械板金を主体とする装置型の板金加工業を目指しましたが、装置産業では資金力がすべて。なんとか他社と差別化していかなければならないと考え、創業当初から溶接・組立・配線まで行う一貫板金工場を目指しました。幸い私たちは3人兄弟(角谷社長は長男)だったので、それぞれが営業や設計、製造技術の分野で力を発揮するように育てられ、会長とともに、事業を拡げてきました」(角谷社長)。

2001年に移動体通信事業に参入
移動体通信基地局向け盤筐体の組立・配線作業移動体通信基地局向け盤筐体の組立・配線作業
同社は現在、移動体通信の基地局や映像処理装置で使われる引込盤・分岐盤・動力盤などの盤筐体から、集合住宅・病院向けの大型の動力盤・分電盤といった盤筐体の設計・製作・配線組込み・検査・品質確認までを一 貫して行っている。
「2001年になってから、当社と取引のあった1次サプライヤーから、移動体通信関連の仕事を受注し始めました。それからは仕事を通じて、通信事業者(以下、キャリア)の技術部門との信頼関係を築いていきました。今では、基地局に設置する引込盤・分岐盤・動力盤などの筐体の設計から製作、組配までを、1次サプライヤーを介して一式で受注するようになりました」。
「受注する面数は年度ごとに増減がありますが、複数のキャリア向けに月間800〜1,500面余りの盤を生産しています。キャリアによって機種も様々で、当社で現在受注している盤は30種類以上あります。各所で報じられているように、各キャリアとも3G対応、LTE(3.9G)対応でインフラ投資を強化する傾向が見られますから、当社としても、今年度いっぱいは仕事量が減ることはないと予測しています」(角谷社長)。

キャリアの信頼を獲得
ベンディングマシンHDS-1303NT+Bi-Jはフルオプションのソリューションパックで導入したベンディングマシンHDS-1303NT+Bi-Jはフルオプションのソリューションパックで導入した
同社は、長年かけて積み重ねた加工ノウハウを駆使し、設計段階から積極的な提案を行って得意先のQ,C,Dに対応。移動体通信業界に参入後は即座にISO9001も取得し、小ロットから量産品、小物精密板金から大物板金と、あらゆるニーズに対応できる製造体制を構築している。
特に売上の50〜60%を占める移動体通信基地局向けの盤筐体に関しては、施工現場で組立を行うこともある。現場で簡単に筐体を組み立てることができ、なおかつ防水性や耐候性にも配慮した組立構造を考案、特許を取得するなど、独自のノウハウと一貫生産体制で最終得意先であるキャリアの信頼を勝ち得ている。...

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