“複合加工”でベストの工法を 提案 代表取締役社長の田城裕司氏
同社が得意としているのは、ワイヤ放電加工機、立形マシニングセンタ、NC旋盤などの工作機械と、パンチ・レーザ複合マシン、レーザマシン、ベンディングマシンといった板金設備とを駆使した“複合加工”。専門の業者だと、それぞれ得意な工法でモノをつくろうとする傾向があるのに対して、同社は後発メーカーでありながら、機械加工と板金加工とを組み合わせ、良い製品を安く、早くつくれる「ベストの工法」(田城社長)を提案することで、得意先の信頼を獲得してきた。定期的に受注する得意先は50社前後、メインの10社で売上の約80%を占める。新幹線車両部品、半導体・FPD製造装置、医療機器用部品など様々な業種の製品を受注している。 フィンランドにCAD展開をアウトソーシング ベンディングオペレータでIT・プログラムにも精通する百田富美子さん
「今の時代、企業はグローバルでなければ生き残れません。しかし、海外に工場を進出することだけがグローバルではありません」と田城社長は語る。同社は2005年から、ベトナム・ホーチミン市にあるプログラミングセンターに展開プログラム工程をアウトソーシングしている。きっかけは、以前に同社でプログラムを担当していた社員が、フィンランドのヘルシンキ工科大学へ留学したことだった。 「その社員は、もともとは木工を志していました。彼が28歳のときにヘルシンキへの留学が決まったのですが、学費・生活費を工面しなくてはならない。そこで、当社で担当していた展開プログラム作業を学業の合間に手伝ってもらうことにしました。当社も助かるし、彼も学費の足しにできます。AP100αの設備一式を持たせて送り出しました」。 AMNC/PCでSDDから曲げ加工データを呼び出し指示通りに加工する
「最初はうまくいくとも思えませんでした。ところが、留学に行く本人が、1カ月2,000円でFAXを画像データに自動変換し、メールに添付して転送するサービスを見つけてきました。フィンランドは、世界最大の携帯電話メーカーであるノキアのお膝元ということもあって、情報インフラの充実度は世界でも随一。当時から大学の寮には光ケーブルが導
入されていました。2005年8月に立ち上げてから、国際電話を一度もかけることなく、すべてメールのやりとりだけですみました。『どうしてこんなにうまくいっちゃうの?』と、我ながら、何のトラブルもないことに驚いてしまいました」。日本から図面をFAXで送ると、自動変換サービスが画像に変換、メールに添付してフィンランドへ転送する。夜の9時に送れば、フィンランドは昼の2時。大学から帰ってきてからプログラムの作業に取りかかる。日本では、翌朝に出社すると、展開されたDXF形式のCADデータがメールで届いている。 ベトナムにプログラム作業をアウトソーシング 各マシンの稼働状況は稼働サポートシステムvFactoryで一目瞭然
手ごたえをつかんだ田城社長は、即座に、展開プログラム工程を海外にアウトソーシングすることを考え始める。「2005年12月頃、人づてに、ベトナム・ホーチミン市にあるプログラミングセンターを知りました。当時のベトナムはまだ情報インフラが整備されておらず、回線もダイヤルアップがメイン。図面を画像にしてメールで送っていたのでは、通信トラフィックに回線が耐えられず、受け取れません。だからメールをやめてファイルサーバーを設置し、ス キャニングした図面の画像データをサーバーにプールして、端末からアクセスするシステムに変更しました」。... つづきは本誌2011年3月号でご購読下さい。 |