連載「ユーザーが語るデジタル―第8回」

VPSSを実現するマシンとソフト
― 3次元CAD・Webの活用




第21回精密板金製品技能フェア「溶接を主体とする組立品の部」で金賞を受賞した「エアーダクト」の3次元モデルと製品(タマチ電機(株))第21回精密板金製品技能フェア「溶接を主体とする組立品の部」で金賞を受賞した「エアーダクト」の3次元モデルと製品(タマチ電機(株))
今回は、連載第2回「VPSSの実践―つくる・ためる」でも取り上げた3次元ソリッド板金CADSheetWorksを再度取り上げる。SheetWorks は、発注元から受け取った3次元モデルからCAMの作成まで一気通貫で行えるだけでなく、3次元設計や効果的なVA/VE提案など、設計ツールや営業ツールとしても大きな可能性を持っている。後半では、Webを活用してVPSS(Virtual PrototypeSimulation System:バーチャル試作システム)をサポートするアマダアイリンクサービス(Ai-Link)の各種サービスを取り上げる。

3次元ソリッド板金CAD SheetWorks
SheetWorksは、世界トップクラスのミッドレンジ3次元CAD SolidWorksをCADエンジンに採用した板金用CAD/CAMソフトウエア。発注元の設計者が描いた3次元モデルをSheetWorksで開き、展開図を作成すると、成形属性・曲げ属性情報が自動的に書き込まれる。

3次元モデルの普及状況
 近年の3次元CADの普及は目覚ましい。しかし、メーカーの設計部門で高い普及率を実現していても、調達・製造部門での利用度はまだまだ低いのが現状である。
「まだ、3次元データを出す企業は少ない」((株)コスミック・千葉)。
「3次元データをもらえれば、展開するまでの時間が早いので助かる。しかし、まだまだ3次元データを出してくれるお客さまの数は少ない」((株)稲垣工業・群馬)。
「本来は3次元CADデータを板金定義から自動展開へと持っていければ良いが、3次元データをいただけるお客さまはほとんどいない」(シオヤユニテック(株)・福島)。
このように、先駆的な板金サプライヤーが3次元データを受け入れる準備を整えていても、発注するメーカーの体制が不十分なために思うような効果を発揮できず、今後の普及に期待をかける声が多く聞かれる。...

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