〜世界で加速する鉄道インフラの整備〜

得意先のターゲットは内需から外需へ
激化するコスト競争にVA/VE提案で対応

株式会社アコオ機工



鉄道車両の生産量は減少傾向
単価の下落で利益率も悪化

間鍋延一社長間鍋延一社長
「『今年以降、鉄道車両の生産量は減少する傾向にある』と言われています」と間鍋(かんなべ)延一社長は語り始める。「量だけではありません。業績は2010年5月くらいから回復しているとはいえ、リーマンショック前の2007年と比べると75%程度。今期(2011年5月決算期)は前年比で増収の見込みですが、価格競争の激化に伴い、利益率は悪化しています」。
同社は現在、売上全体の60〜65%を鉄道車両関連が占める。構体関連のフレーム・艤装・床下機器の取付フレームやブラケットなど、鉄道車両関連の板金加工部材を手がけてる。得意とするアルミ溶接構造の新幹線車両、ステンレス製通勤車両のいずれも手がけており、鉄道車両特有の様々なノウハウを培ってきた。

激しさを増すコスト競争
3次元CADによるモデリングと展開作業3次元CADによるモデリングと展開作業
「鉄道車両業界では、リーマンショック後も落ち込みが小さかったこと、『鉄道ルネッサンス』などと言われて世界的に鉄道が見直され、将来的に市場が拡大すると予測されていることなどの理由から、新規参入してくるサプライヤーが増加しています。その反面、高速道路の無料化などによって、鉄道事業者の採算性が著しく悪化しているため、車両自体の導入予算が削られたりする傾向があります。その結果、鉄道車両メーカーのサプライヤーに対するコストダウン要請も激しさを増しています。いずれの業界においても同じことでしょうが受注競争はますます激化し、単価は急激に下がっています」。
「鉄道車両業界はこれまで、“固定外注”と言われてきました。“固定外注”とは、ある車両の部品の生産実績ができれば、その部品に関しては、その車両の生産が終了するまで、実績のあるサプライヤーが受注し続けるという考えです。これはどの業界でも共通している事だと思いますが、用途別の品質ノウハウを1度経験し、熟知したサプライヤーの方が、お互いにQ,C,Dが安定する。鉄道業界は特にそれが色濃く出ている業界だと考えられます。しかし、予算が少ない新型車両に関しては、こうした従来のサプライチェーンの仕組みも崩れ始めています」。
「品質さえクリアできれば、見積りで最もコストパフォーマンスをアピールできたサプライヤーへとシフトしていく可能性は高いでしょう。こうした状況に対応するためには、当社もコスト面での貢献を念頭に、ありとあらゆる手段において、コストダウン態勢を強化しています」。...

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