〜SHEET NOW〜

異業種から転身した新社長が語る板金の夢
生産工程の見える化、自動化で収益モデルを大きく転換

東原産業(とうげんさんぎょう)株式会社



不動産業・サービス業から板金加工業経営者へ
左が現場責任者の常務取締役・塙修一郎氏、中央が代表取締役社長の塙良太郎氏、右が専務取締役・豊田直樹氏左が現場責任者の常務取締役・塙修一郎氏、中央が代表取締役社長の塙良太郎氏、右が専務取締役・豊田直樹氏
「板金の“ば”の字も知らなかった」。就任4年目、43歳の塙 良太郎社長は、インタビューの冒頭、こう切り出した。
東原産業(株)は、1970年に塙社長の父・塙 鐵夫氏が設立。当初は、鋼材などの倉庫業を営み、80年から敷地内で板金加工業を行うようになった。その後、産業機械・建築機械関連を手がける二宮産業(株)、農業機械メーカーの(株)丸山製作所などとの取引を開始。だが、84年には資本を他社に譲るなど苦難の時代もあった。
そして2008年、84年以来のオーナーが撤退を表明、工場も移転しなければならなくなった。そこで、同名の新会社を現住所に設立し、新社長に就任したのが、不動産業・サービス業の経営者である塙 良太郎氏だ。
塙社長は、「小学生のころ、ベンダーを触ったことを覚えている」程度で、金属加工の経験も業界との接点もまったくなかった。そんな塙社長が引き継いだ会社には問題が山積していた。
「納期遅延85%でしたから」と笑いながら当時を振り返る塙社長は、サービス業で培った経営手法を取り入れ、大胆な会社改革に取り組んだ。

まずは現場の“見える化”でムダ・ムラ・ムリを洗い出す
レーザマシン LC-3015F1NT+ AS-3015F1を2010年8月に導入、24時間自動稼働を目指すレーザマシン LC-3015F1NT+ AS-3015F1を2010年8月に導入、24時間自動稼働を目指す
新生・東原産業は千葉駅から車で約10分、敷地面積600坪に工場を移し、旧工場から設備を運びこんでの再出発となった。板金の詳しい知識はなくても、経営者として十分に実績を積んでいた塙社長は、東原産業の内情に「システム、設備、教育」の3点で改善・改革の必要性を感じた。そこで真っ先に取り組んだのが、生産管理のシステム化である。
それまでは「専務(豊田直樹氏)の頭の中だけで工程管理していた」(塙社長)が、人間の知恵だけではどうしても仕事のモレが発生する。実際、専務の多忙時には、他の社員は何もできないという状況も発生した。そのため、売上は多いのに利益は上がらず、「仕事をとればとるほど、仕事が遅れていく」状態で、納期遅延率は85%というありさまだった。
そこで2008年、生産管理システムWILL受注・出荷モジュール+Mを導入し、まずは「現場に対しての“見える化”」(塙社長)をして、ワークフローを見直す作業から始めた。
効果はすぐに現れた。受注量・納期などを誰でも確認できることで、社員が自ら積極的に仕事を探すようになった。生産プロセスが明確になり、生産効率は格段に向上。受注計画も立てやすくなった。
「オンラインの生産管理システムにより、作業状況が即時に確認でき、お客さまの問い合わせに迅速に応えられる体勢を整えました。現場と管理事務所でオンタイムに情報管理することにより、正確な検査、納期管理に万全を図ります」(塙社長)。...

つづきは本誌2011年2月号でご購読下さい。