〜SHEET NOW〜

中国進出で建機の海外生産に対応
日本〜中国間の情報共有とセキュリティ確保の両立を目指す

株式会社岡本製作所



中国に2工場を設立
西江園一久専務西江園一久専務
同社は建設機械や産業機械車両のエンジンフードやホイールローダ用バケット、バッテリーボックス、シートアセンブリー、ライトブラケットアセンブリーなどの板金溶接部品の加工・溶接・組立を行ってきた。
主要得意先である建機メーカー3社はいずれも中国へ進出しており、グローバルコストと顧客ニーズに対応するため、2007年6月に合作企業「上海聯高金属製品有限公司」(以下、上海工場)を設立し、日本向けに建機部材の輸出を行うようになった。さらに、中西部大開発で建機需要が急激に拡大する中国市場での増産を計画する大手建機メーカーの要請に応じるかたちで同年12月、蘇州に独資で進出、「岡本横浜(蘇州)機械有限公司」(以下、蘇州工場)を設立し、外資系(日系含む)建機・農機具メーカー向けにエンジンフードやカバーといった板金部材を製造するようになった。

エンジニアリングは日本に集約
SheetWorksにより3次元モデルから展開図を作成するSheetWorksにより3次元モデルから展開図を作成する
現在、日本の本社工場では国内向けに特化した機種や、中国で生産していない建機部材を生産している。得意先から受け取った技術情報をもとに2次元CAD/CAM AP100で展開し、WinNESTおよびDr.ABE_Blankでネスティングを行う。特徴的なのは、得意先から受け取った外形モデルの3次元データや組み図をもとに、展開の段階から溶接分断位置を考慮してバラシ・展開を行い、VA/VE提案に結び付けている点だ。例えば、製造性を考慮した結果、歪みが出にくい、または歪みが発生しても歪み取りがしやすいよう、通常は溶接する個所をR曲げ、異なる部位で開先加工と溶接を行い、組み立てる提案なども行っている。
vFactoryのデジタル稼働日報で各マシンの稼働状況を把握するvFactoryのデジタル稼働日報で各マシンの稼働状況を把握する
蘇州工場には2次元CAD/CAM AP100を設備しているが、現地のスタッフにはこうしたエンジニアリングの経験が不足しているため、日本向け・中国向けを問わず新規の試作は原則として日本で行い、量産が決まった中国向けの製品はデータを現地へ送り、現地のAP100でネスティング後、加工を行っている。上海工場は比較的スキルが高いため、日本で試作して上海へ生産を移管する場合にはデータを送っているが、現地で生産する比較的簡単な部材のプログラムは現地でも行える体制を築いている。...

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