連載「ユーザーが語るデジタル―第7回」

VPSSを実現するマシンとソフト
― 生産管理システム




生産管理システムAPC21で受注処理を行う(㈱タナカファクトリー)生産管理システムAPC21で受注処理を行う(㈱タナカファクトリー)
多品種少量・変種変量生産へと移行すると、“モノ”と“情報”の管理がしっかりできていないと納期の管理が不十分になる。また、見積り(売価)と原価にギャップが生じれば、適正な工場運営にも支障をきたす。このような間接業務は従来の中小製造業では軽視されがちだったが、今では生産管理システムを活用して“モノ”の流れをスムーズかつ正確に把握することで、数値に現れにくいムダを排除し、利益体質の強化に取り組むことが一般的になっている。

生産管理システムAPC21
APC21は、受注・出荷・在庫・大日程管理・製作手配・外注・材料発注・原価・売上など、生産における入口から出口までを徹底管理することができる。

多品種少量生産の複雑な進捗・出荷管理に対応
EDIで入ってくる受注情報に基づきWILL受注・出荷モジュール+Mで負荷を山積みして差し立て処理を行う(㈱秋山機器)EDIで入ってくる受注情報に基づきWILL受注・出荷モジュール+Mで負荷を山積みして差し立て処理を行う(㈱秋山機器)
まずは、APC21導入を決断するに至るまでの生産管理の実態と問題意識を語ったユーザーの声を紹介する。
「(これまでは)受注から納期管理、材料手配にはお客さまごとに担当者が配属されていた。しかし、主要得意先からの受注も多品種少量化がますます加速し、予定どおりに工程が組まれていても特急品や飛び込みが入ると進捗や出荷管理が複雑になってきて、さらに担当者が休んだりするとまったくのお手上げ状態になってしまう」、「何とか、この状況を改革しないと、せっかくのマシンが生きてこない」ため、「事務所と現場を一元管理」(滋賀産業㈱・滋賀)する必要があった。
「受注情報はEDIを通じて入ってくる割合が増え」、「最近はJIT対応が一般的となっており、1 week deliveryも増えている」。「納期順に山積み・差し立て処理を行って生産スケジュールを作成するが、特急・割り込みが頻発してスケジュールの組み替えが増え」(田中電工㈱・大阪)、大変な工数をかけざるを得ない状況が発生した。
「設備が増えるとともに受注品目数も増え、段取り時間が増大、設備稼働率が低下するようになった。さらに、受注した製品の進捗が把握できないため、納期遅延などの問題が発生するようになった」。そのため、「得意先の注文番号(製品番号)に対応した生産管理を行い」、「受注から出荷まで、工場の入口・出口の管理を」(㈱大日機鋼・香川)確立しなければと判断した。...

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