〜2011年の板金業界はどこへ向かう?〜

京の知恵、上海万博へ行く
各種研究会・異業種交流会で得た人脈で新製品誕生

有限会社今西鉄工所



今西文彦社長今西文彦社長
今回は、京都市の中小企業でつくる京都市ベンチャービジネスクラブの「ものづくり研究会」に所属する数名が同研究会のワークショップの中から「合同会社MONO京都」を立ち上げ、昨年襲った新型インフルエンザなどの脅威にいち早く対応できる手指の消毒・乾燥機「ニュー洗いっ妓はん」を開発・商品化、上海万博に出展すると聞き、訪問した。
“ニュー洗いっ妓はん”お披露目まで
レーザマシンFO-2412での切断レーザマシンFO-2412での切断
「“ニュー洗いっ妓はん”自動消毒液噴霧装置」はもともと、京都市ベンチャービジネスクラブ(http://www.kvbc.jp/)の『ものづくり研究会』というところが企画・開発したものです。ただ、このクラブの運営には公的資金が援助されているため、その後の営利を伴う事業については、このクラブから離れるようにと京都市から指導があり、ものづくり研究会に所属する有志がお金を出し合ってできたのが『合同会社MONO京都』です。初期型の試作機を2台、筐体は光造形で製作し、いったんその状態で新聞発表されました。予想以上の反響があったものの、量産化には金型代だけで数百万円ほどかかることが分かり製品化には及び腰になり、昨秋には、このプロジェクトは宙に浮きそうになりました。私が 参加させていただいたのがここからです。『MONO京都』の全体をまとめておられた和光舎の西谷健二社長とは、他の異業種交流会で一緒に活動していたことから、西谷社長からこのお話を聞いた時に、私が金型より板金で製作すれば少しはリスクが低くなるのでは、と提案させていただいたのが始まりです。そこで仕事仲間である朝日計器製作所に声をかけ、電気配線や組立を担当していただき、私たち 2社が加わり再スタートしました。市場の反応を見てから、その後のことは考えましょう、ということになっていたのですが、西谷さんが、“どうせなら上海万博に”と提案されました。丁度、上海万博京都ウイークの募集があり、運よく我々の企画が採用されることになりました。急遽、京都デザイン専門学校の学生さんにデザインコンペに参加してもらいデザイン案を考えていただきました。応募は15件あり、その中から板金化しやすい筐体構造を朝日計器製作所さんで図面を起こしてもらいました。筐体の製作を当社が担当し、R曲げのところは60回くらい突き当て曲げをして、ゲージで計測しなが製作しました。筐体は高さ110p、幅50p、奥行き40pで重さは40s。上海万博出展用に2台、そのほかに市場調査用に4台の合わせて6台製作しました」今西社長は製品発表までの経緯をそのように語っている。

格調高い「ロイヤルブルー」
パンチングマシンEM-255NT機の操作パンチングマシンEM-255NT機の操作
「従来は手首から先が消毒できる深さしかありませんでしたが、衛生面を考えると肘部分までしっかりと消毒できる機能があれば、食品会社や飲食店関連、各種宿泊施設などでも需要が拡がるのではないかと考え、機器に触れずに肘まで消毒できるタイプに改良しました。飲料自販機とのセットで使ってみたいという飲料メーカーも現れました。色はいろいろ提案が出ましたが、足元の汚れが目立たず、なおかつ清潔感があるブルーに決定しました」。その塗装を担当するのは同社の隣にある塗装会社。同社は元々は自動車塗装を専門としていて、筐体塗装も重厚で輝きのあるロイヤルブルーに決まった。各種メディアからも「京都らしいおもてなしの心」と評価され、今回国際デビューする上海でどのような評価を受けるか、期待が高まる。...

つづきは本誌2010年12月号でご購読下さい。