〜2011年の板金業界はどこへ向かう?〜

独創的な商品づくり・独創的な企業を目指す
2011年以降の企業ビジョンの柱となる設備を来年の初夏頃導入予定

株式会社燒リ製作所



ベストパートナーに2度選ばれる
藤田 仁部長藤田 仁部長
半導体・液晶製造装置・デジタル印刷機・電子工業機器のトップメーカー大日本スクリーン製造(以下D社)からの仕事が比較的多い。従業員39名という規模は「お客さまの期待を裏切らない」大義を旨としている同社にとって“ちょうど良い数”で、「社内の意思が統一されやすい」面でも効率がよい、と燒リ正三郎社長。
主要発注元のある1社は、世界に2,600社のサプライヤーを持ち、そのうち主要カンパニーは600社程度。200倍以上という厳しい倍率で、年間に12社だけがその年のベストパートナーに選ばれる。選ばれるには理由がありQ,C,Dをクリアし、なおかつもうひとつの+D(Development:不良率低減・生産効率化のために工程を改善する開発力)、さらに+M(Management:経営の安定性)などが評価基準に加えられている。
ただ、「ベストパートナーに選ばれたことで、ある程度仕事が見込めるようになりますが、そのかわりに経営品質のハードルが上がり、乗り越えなければならない課題が山ほどあります」と言うように企業責任はますます高くなっている。ベストパートナーの賞状(画家が干支の文字を具象化した美術品としても鑑賞に値する額入賞状)は「毎年干支が変わるので、12種の干支の賞状をいただきたい」と、社員たちもさらに日々の作業の励みにしている。社内に1歩足を踏み入れると若い社員が生き生きと動き、元気な「挨拶」と「腰の低さ」は、部長の指導の賜物だろうか。

確定受注が入ってから生産着手
APELIOV -357VNTでの作業APELIOⅢ-357VNTでの作業
同社がセット受注する機械カバーの部材に関しては、試作段階ではデザイナーの描いたイメージを忠実にカタチにする努力を行う一方で、1次試作が終了した段階で加工・溶接のしやすさや原価低減を図る加工プロセス変更提案を行うなど、イメージ・性能・機能を損なわない範囲での設計・加工提案ができるエンジニアリング力も備えている。また、3次元ソリッド板金CAD SheetWorksを導入し、発注元とコラボレーションエンジニアリングを可能とするプラットフォームづくりにもいち早く取り組んでいる。

月間1万3,000アイテム以上
FBDV -1025NTの作業、大きなカバーが曲げられるFBDⅢ-1025NTの作業、大きなカバーが曲げられる
受注するアイテム数は電子工業用機器関連がパーツ単位で月間7,000〜8,000アイテム。その一方で画像情報処理機器は機番生産に対応してキット生産で対応し、そのアイテム数は数千点になり、これらを合わせると月間1万3,000点前後となる。設計変更品を含む新規品は20%、リピート率は80%と高い。それだけにロット加工ができればコストダウンしやすく、ネスティング・多数個取りで材料歩留りを改善できる可能性は高い。しかし、受注生産で仕掛かりをゼロで流すため、平均ロットは2〜3個の多品種少量生産、同じ機番がロット違いで注文があっても必要な時に必要な個数しか生産しないJIT対応を基本としている。...

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