連載「ユーザーが語るデジタル-第6回」

VPSSを実現するマシンとソフト
― 曲げ・溶接




追従装置の付いたHDS-2204NT(中立電機(株)・中立工業(株))追従装置の付いたHDS-2204NT(中立電機(株)・中立工業(株))
今回は、ブランク工程と比べて自動化・省力化が困難だった曲げ工程・溶接工程で稼働する加工マシンと連携するソフトウエアを取り上げる。

ネットワーク対応型ベンディングマシンHDSシリーズ
ブランク工程は早くから自動化・省人化が進んでいたが、曲げ工程は人手を要し、かつ熟練技能者でなければ加工できないという性質があったため、概してマシン稼働率が低く、板金工程全体のボトルネックとなりがちだった。これらの課題を解消したネットワーク対応型ベンディングマシンHDSシリーズと曲げ加工データ作成全自動CAM Dr.ABE_Bendの導入ユーザーの声を紹介する。

曲げ工程の自動化・省力化の難しさ
ベンディングロボットシステムASTROⅡ-100NT((株)秋山機器)ベンディングロボットシステムASTROⅡ-100NT((株)秋山機器)
ブランク工程のライン化・自動化が進んだ結果、「ブランクの生産性が向上すると、今度は曲げ前の仕掛かり品が山になってしまった」(シオヤユニテック(株)・福島)。
これは曲げ工程での滞留が発生し、結果的にリードタイムが長くなってしまっている例で、他にも「リピート加工においてもデータの2度づくりが行われており、段取り時間が多くて実加工時間が少なく稼働率が低い」((株)立売堀製作所大阪工場関東工場・埼玉)といった声が挙がっている。
ブランク工程のように自動化・省人化を進められない曲げ作業の難しさは、次のようにも語られている。
「曲げ工程は“誰でもできる”という訳にはいかない。そこには“経験”という大きな壁があった」((株)吉見鈑金製作所・長野)。
「段取りから曲げ加工データ作成、実加工までが作業者依存では、その作業者を育てるのが難しい」((株)立売堀製作所大阪工場関東工場・埼玉)。
したがって、多くの経営者の望みは、「熟練者でなくても比較的容易に精度の良い製品が製作可能」(オークマスチールテクノ(株)・岐阜)になること、ではないだろうか。

マシン性能の向上により生産性が改善
Dr.ABE_ASTROがASTROⅡ-100NTシリーズ用に曲げ加工データとロボットの動作プログラムをオールインワンで作成する((株)秋山機器)Dr.ABE_ASTROがASTROⅡ-100NTシリーズ用に曲げ加工データとロボットの動作プログラムをオールインワンで作成する((株)秋山機器)
ネットワーク対応型ベンディングマシンHDSシリーズは、マシン単体を見ても機能・性能が大幅に向上している。
「HDS-1303NTはそれまでの上昇式のベンディングマシンとは違って下降式で、駆動方式も油圧と電気を複合したハイブリッド式」((株)ヤマシタ・山口)。
「モジュラーツーリング金型を採用しているので金型の芯出しが一発ででき、正逆使いもできるため、金型段取り時間が大幅に改善。また、パンチ先端がレーザ焼き入れされているため硬度が高く、金型の磨耗が少ない」((株)稲垣工業・群馬)。
「軸スピードも向上、金型段取りも改善されたので、それまでの油圧式のベンディングマシンと比較しても生産性が2倍くらいに改善している」((株)ヤマシタ・山口)。...

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