〜コモディティ化が進む工作機械〜

国内生産のメインは高付加価値機種へとシフト
板金カバー類の市場は需要減と地産地消でピーク比半減



日本製工作機械のアドバンテージが薄れる
グラフ1 2009年 世界の工作機械生産額・上位13国/ Gardner Publications社グラフ1 2009年 世界の工作機械生産額・上位13国/ Gardner Publications社
世界経済の回復に伴って設備投資も増加しつつあり、工作機械需要は確実に回復局面にある。 中国をはじめとするアジア新興市場での需要の押し上げ、北米・欧州・日本国内市場での需要の回復によって、リーマンショックの影響で大幅に落ち込んだ前年の同時期と比較すると2〜3倍の伸びを示している。特に5月以降は月々の受注総額も800億円台を維持し、(社)日本工作機械工業会も7月に入ってから、年初に発表した2010年の受注見通し6,000億円を8,500億円へと上方修正した。
しかし、8月に入ってからの急激な円高と、それを嫌気した株価の低迷によって、日本経済を取り巻く環境は一転、厳しさを増している。1ドル80円台前半まで円高が進めば、地産地消に対応する大手企業の海外生産シフトと国内産業の空洞化が一層加速すると見られ、それによって地産地消に対応する大手企業を中心に海外投資は上向くが、その一方で国内中小製造業の設備投資マインドの低下が懸念される。その結果、工作機械出荷額の国内外比は、現地生産額も含めれば、現状の4対6から3対7、場合によっては2対8程度にまで外需の割合が増加するとも見られている。
最近では日産、ホンダに代表される日系自動車メーカーの間で、海外工場の機械設備に際して、仕様・性能・機能・価格・納期を満足できれば現地のローカルベンダーや中国・韓国・台湾・インドなどの工作機械を積極的に検討するようになっており、日本製工作機械のアドバンテージが薄れる傾向も見受けられる。

ボリュームゾーンの機種はコモディティ化
グラフ2 2009年 世界の工作機械シェア/ Gardner Publications社グラフ2 2009年 世界の工作機械シェア/ Gardner Publications社
さらに、高機能・コンパクト・低価格など、どの工作機械メーカーもユーザーニーズを必死に模索する中でコモディティ化が進み、付加価値利益が低下している。その結果、工作機械メーカー間の受注競争がさらに激化していくと予想され、利益構造を圧迫し、企業経営の存続すら危ぶまれる事態も予測される。...

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