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機械加工の板金化提案が生きる
「日本に残す仕事」を創出したい

棚長株式会社



仕事量は戻るも売上は80%
榊原逸夫社長榊原逸夫社長
同社への訪問は午後4時過ぎ。「仕事が忙しくて、なかなか時間が取れない」ということで工場内に涼風が吹き始めた頃に伺った。
「当社のメインはIT業界向けの産業機器と医療機器関連。今は産業機器関連の仕事が忙しくなっています。しかし、8月以降の急速な円高により輸出採算が悪化、好調な中国需要にも上海万博以降は翳りが出てくるのではないかという懸念からブレーキがかかるという見方も出ています。秋口以降は、まったく見えていません。現状の医療機器関連などの仕事を含めた全社の受注量は2007年のピークとほぼ同等にまで戻ってきていますが、コストダウン要求が厳しくて、売上は80%程度にまでしか回復していません。反対に、短納期化や変種変量生産への対応で残業や休出が増え、人件費は上がっています。また、納期の都合でオーバーフローした仕事を協力会社にお願いすることで外注費も増えている。コストは上がる一方なのに受注金額が下がっていることで利益率が落ち込んでいます」と、榊原逸夫社長は多忙ながら苦しい現状を語ってくれた。

機械加工部品から板金製品への提案
ロットがまとまる製品は200〜300個を曲げることもあるロットがまとまる製品は200〜300個を曲げることもある
「当社の得意先でも、最近は内需よりも外需で輸出が増えています。特に発展の著しい中国向けの比重が大きくなっているために、部材そのものを中国で調達し、中国で現地生産を行う計画も進んでいます。これからは中国コストとも戦っていかなければなりません。また、産業機器はIT業界にはなくてはならない機器で、国内には6社程のメーカーがあり、各社が日夜生産性の向上に取り組んでいて、技術革新のサイクルが非常に速いのが特長です。お客さまはスピードと精度、コスト削減を実現するため、従来工法からの置換技術の提案を広くサプライヤーにも求めています。そこで当社では、長年かけて培ったアルミの精密板金加工技術と溶接技術で機械の中核であるヘッド部分を覆うカバーやシャシーを、それまでの機械加工製品から板金製品に置換する提案を行いました。ある時、得意先からシャッターが走る部分に使う部品の板金化の相談があり、苦労の末、何とか製品化にこぎつけました。今でも最新の注意を払って加工していますがこの部品は得意先から高い評価をいただいています。...

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