〜食の多様化に対応する食品機械業界〜

製パン・製菓用原材料から機械までトータルに応える
機械のオーダーメイド・オーバーホールで顧客を掴む

戸倉商事株式会社



創業の譜
戸倉 豊社長戸倉 豊社長
同社を語るに創業者であり現社長の父親でもある故・戸倉重春氏の功績は大きい。
「父親は10歳の時に四国・坂出から片道分の汽車賃を握り来阪、現在の基礎をつくりました。幼少の身で、関西でのスタートは厳しいものであったようです」以後、戸倉 豊社長の弁。

青雲の志
機械事業部設計課の戸倉康年さん機械事業部設計課の戸倉康年さん
わずか10歳で奉公に出たが、辛抱して仕事を覚えるうちに、ヒトを動かす心理、自身の働くことの意味などを次々と体得するとともに、様々なヒトとのネットワークを構築していく。京都を皮切りに、やがて滋賀県大津市のお店(たな)に世話になるようになった。厳格な商人気質の強い近江界隈。勤めに明け暮れながら何か自分で仕事を始めたいと考えたが、地方出身者には信用がない。そんな時に下宿屋の老夫婦が保証人になるから、という口証文を錦に、大津と大阪市内の飛脚便の仕事を始めた。朝、大津で荷物を預かり、大阪まで電車で運び、また、大阪からの荷物を大津近在まで運ぶ。それを1日に2回往復する。そんな時に、今でも同社にとっては大切な顧客であるオリエンタル酵母工業(株)からパン生地を発酵させる酵母菌のデリバリーを頼まれるようになる。

給食でパンの需要が急拡大
FBDIII-1025による曲げ加工では最大2,500mmの曲げ長さに対応するFBDIII-1025による曲げ加工では最大2,500mmの曲げ長さに対応する
戦後、学校給食が始まりパンも大量消費の時代に移っていった。飛脚便の大阪支店から、パンづくりに必要な酵母菌を預かり、大津市内のパン屋に運ぶ。先代は、そういったところへ出入りするうちに、パンづくりに必要な道具・器具類のあること、大手製パンメーカーと個人のパン屋では設備にも違いがあることを知った。設備や道具に対して、「もっと、こんなようになったら便利なんやけど」、「修理してもらう値段が高こうて難儀や」といった声を聞いて、ヒントを得た。そうこうする内に、製パン機械メーカーに就職した弟が、機械のオーバーホールやメンテナンスのノウハウを習得して帰ってきた。...

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