〜食の多様化に対応する食品機械業界〜

厨房設備の設計・製造・施工事業を中心にお客さま視点でモノづくり
曲げ加工データ作成の外段取り化でマシン稼働率を大幅改善

株式会社AIHO



リーマンショックの影響も最小限
中神幹晴 執行役員・製造部長中神幹晴 執行役員・製造部長
(株)AIHOは、創業60周年が間近に迫った業務用厨房機器の総合メーカー。スライサー・ミキサー・ブレンダーといった調理機器、オーブン・フライヤーといった加熱機器、連続炊飯機、冷却機器、食器洗浄機、消毒保管機など、業務用厨房機器を幅広くラインナップし、多いもので年間数百台を出荷する。カタログ製品の他にも、全国の学校・病院・民間企業などの給食センターや社員食堂、ホテル・レストランの厨房設備の設計・製造・施工を手がける。主力は厨房設備の設計・製造・施工事業で、売上の約80%を占めている。 「厨房設備の設計・製造・施工事業は公共の建設計画と密接に連動しているので建設業界と同様、半年から1年ほど遅れて景気変動の影響を受けます。リーマンショック後の業績も、2009年度の下落幅は1桁台でした。2010年度は若干厳しく、2011年度以降の受注はまだはっきりと見えていません。また、全体的にコストが抑えられているため、利益率の確保が課題です」と中神幹晴製造部長は現況を語る。

出荷のピークは2〜3月に集中
鈴木晋治 生産技術課主任鈴木晋治 生産技術課主任
「学校や病院など公共施設の建設計画は何年も前から始まるため、ある程度の見込みが立てられます。受注は公開入札や設計コンペを経て決まります。入札は年度末の2〜3月の設備導入を目指して6〜7月に行われることが多いのですが、最近は秋口に入札して翌年の6〜7月や翌年度末に納品する2カ年計画のケースも増えています。受注後に細部の設計に入って、納期の2カ月ほど前に生産手配、製造が始まります。生産手配から納品までの納期は、カタログ製品だと1週間前後、全体設備だと最長でも2カ月強。スケジュールはマニュアルで管理していますが、受発注管理と工程進捗は当社仕様にカスタマイズした生産管理システムを運用しています。展開・プログラムに5〜10日前後、加工に15〜20日前後、それぞれ機種ごとに購入品と加工品を機種単位に生産・調達手配を行い、組立に10日前後、現地施工に10日前後を要します。基本設計が始まるまでには、お客さまとの打ち合わせを繰り返して収容物を決め、確定仕様書を作成します。窓口は営業ですが、必要に応じて設備設計の担当者や機械設計の技術担当者も打ち合わせに参加し、コストとお客さまのご要望とを擦り合わせて、仕様を固めていきます」(中神製造部長)。

180棚の自動倉庫とブランク加工マシンが24時間無人稼働に対応
HDS-1303NTのAMNC/PCから曲げ加工データを呼び出して加工するHDS-1303NTのAMNC/PCから曲げ加工データを呼び出して加工する
同社には設備設計部門、機械設計部門、製造部門があり、機械設計では機械設計用の2次元CADと3次元CAD SolidWorksの両方を活用している。通常は機械設計部門の2次元CADで作成した三面図を図面出力し、その図面を元に製造部門にある4台の2次元CAD/CAMで展開していく。形状が複雑な製品は、機械設計部門がSolidWorksで3次元モデルを作成し、製造部門の3次元ソリッド板金CAD SheetWorksに取り込んで、バラシ・展開を行うこともある。作成したブランク加工データはパンチ・レーザ複合マシン、パンチングマシン、レーザマシンへと転送される。180棚の自動倉庫の両側にパンチ・レーザ複合マシンとパンチングマシンが配置されており、24時間無人稼働にも対応。自動倉庫は材料供給の他、ブランク加工後の仕掛品を格納するバッファーとしての機能も有している。 ...

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