〜食の多様化に対応する食品機械業界〜

食品機械ー2009年の業績は2桁減
年間の板金部材調達額は240〜280億円



不況スパイラルに突入
グラフ 食品機械出荷額推移/(社)日本食品機械工業会グラフ 食品機械出荷額推移/(社)日本食品機械工業会
2008年9月のリーマンショック後、食品機械業界も不況スパイラルから脱することができず、深刻な業績低迷を続けた。食品機械は食品別に多種多様な機種があり、基本的には多品種少量生産の業態となっている。また、食料品を加工するため、安全で衛生的な製品の生産が求められる。とりわけ、食品を製造する際に工程上の危害を起こす要因(ハザード:Hazard)を分析し、それを最も効率よく管理できる部分(CCP:必須管理点)を連続的に管理して安全を確保する管理手法「HACCP(ハセップ)」への対応が求められている。さらに、消費者からの安全性やトレーサビリティに対する厳しい要求に、いかにして対応していくかが重要なポイントとなる。
食品業界では消費者ニーズの多様化に加え、穀物をはじめとする原材料価格の高騰、消費不振や安価なPB(プライベートブランド)の台頭、食の安全に対するコスト増といった傾向が見受けられる。さらに不況に対応する生活防衛で消費者の購買意欲が低下、消費市場全体の縮小と低価格製品へのシフトが起こっている。それによって食品機械業界では全体的には設備投資意欲の減退、さらにコモディティ化※によって機械・設備の販売価格の引き下げに繋がるなど厳しい状況が続いている。その反面、食品メーカーの一部は生産設備の整備や増設によって「食の安全・安心」という消費者の根強いニーズに対応しようとしており、食品機械メーカーも新製品投入と既存製品の品質改善に取り組んでいる。

2009年の出荷額は4,035億円
UHTプレート式液体殺菌装置((株)日阪製作所)UHTプレート式液体殺菌装置
((株)日阪製作所)
(社)日本食品機械工業会の生産・出荷統計によると、2009年の食品機械の出荷額は4,035億2,400万円(前年比9.9%減)となり、2005年から4年間連続でほぼ維持してきた年間出荷額4,500億円のラインを500億円ほど下回った(グラフ)。...

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